食器 2020.10.02
器の顔 〜和食器の正面とは〜
器にはそれぞれ正面があり、形によって置く向きが決められています。
変化に富んだ和食器は、正面がわかりにくいものが多いです。
そこで今回は“正しい器の向き”についてご紹介します。
目次
1.器
1-1.【楓】
葉先を向こう側にして置きます。
1-2.【葉】
葉先を左側、葉柄を右側にして置くのが一般的。
1-3.【三つ足】
高台が三つ足になっている場合は、一つ足が手前にくるように置きます。
1-4.【蛤】
ちょうつがいを向こう側にして置きます。
1-5.【魚】
魚型は背びれが上で頭は左、尾を右に。
1-6.【扇】
扇を広げた形の『開扇 (かいせん)』は要部分が手前にくるように、
扇が半分開いた形の『半開扇 (はんかいせん)』は要の部分を右にして置きます。
また、扇に貼る紙の形を模している『扇面 (せんめん)』は、
開扇と同様に、要部分が手前にくるように置きます。
デザインによっては要が左にくるようなものもあります。
1-7.【割山椒 (わりざんしょう)】
山椒の実が熟してはぜたように、三方に深く切り込みが入っている形の割山椒は、
中の料理が見えるように切り込みを手前にして置きます。
1-8.【絵皿】
絵が描かれている器の場合は、絵の向きで正面が決まります。
ただし“草だと思ったら枝垂れ柳だった”など、一目では向きがわからないこともあるので要注意。
1-9.【文様】
文様が正しく見える位置が正面。
天地が分からない文様は、最も色彩豊か(華やか)な部分が正面になります。
1-10.【雲錦】
満開の桜と紅葉が一緒に描かれた雲錦模様の器は、
春には桜の部分を正面に、秋には紅葉の部分を正面にして使います。
1-11.【木椀】
年輪状になっている場合は、木の中心部分(年輪の中心に近い方)が正面になります。
1-12.【片口】
注ぎ口を左側にして置きます。
1-13.【隅切】
四角の一隅を切り落としたシンプルな形の隅切は、隅切角を右上にして置きます。
1-14.【松花堂弁当】
柾目が横になるように使用するのが自然です。
1-15.【角もの】
一辺を手前にして置くのが基本です。
1-16.【盆ざる・すのこ】
使う人に対して横目になるように置きます。
1-17.【綴じ目のある器】
曲げわっぱなどの曲物は「丸前、角向こう」といわれるように、
丸い器は綴じ目を手前に、四角い器は綴じ目を向こう側にして置きます。
1-18.【その他】
・銘(サイン)の向き
裏の銘の向きで正しい方向がわかるといわれていますが、
文字の下を手前にして器を横回転させた方向が正面とする場合と、
器を前後に回転させて正面になる場合があり、作者によって異なります。
・絵が描かれていない器の場合
窯変が起きているなど、見所のある部分が器の正面になります。
※窯変とは…窯の中で予期せぬ色や形に作品が変化すること。
・変わり器
高低差がある場合は低い方が正面になります。
2.おわりに
いかがでしたか?
このようにある程度決まりはありますが、使い手の嗜好などによっても正面が変わってきます。
必ずしもこれが正しいということはありませんので、基本をおさえつつ楽しみながら使ってみてください。
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