食器・厨房コラム

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その他 2020.11.03

食器の主な材質と性質について 〜プラスチック〜

遠藤

料理を引き立ててくれる「食器」。

「食器」とひとくちにいっても、
プラスチックや陶器など素材はさまざまです。

そこで今回は、食器などに使われている主な
プラスチックの種類や性質についてご紹介します。

1.材質・性質

1-1.【フェノール樹脂】

フェノール樹脂:フェノール樹脂は汁椀の素地に使用されます。

略号:PF

耐熱温度:150℃

性質

・漆器に似ている。
・耐熱性、耐酸性に優れている。
・材料の特性上、暗色(黒・朱・茶など)が多い。
・耐アルカリ性、耐衝撃性に劣る。

 

 

1-2.【ユリア樹脂】

・ユリア樹脂:漆器の素地として使用される。

尿素樹脂とも呼ばれます。

略号:UF

耐熱温度:90℃

性質

・無色透明で着色性がよい。
・耐熱性に優れている。
・耐酸性、耐アルカリ性、耐衝撃性に劣る。

 

1-3.【メラミン樹脂】

・メラミン樹脂:陶磁器に比較すると約1/2〜2/3の軽さになります。

熱い料理を入れても器をそのまま手で持つことができます。

プラスチック食器は食品の色が器に付きやすいですが、
メラミン食器は洗うだけで食品の色がきれいに落ちます。

塩素系の漂白剤を使うと食器の表面がザラザラとしてしまい食器そのものを傷めます。
どうしても漂白したい場合は、酸素系の漂白剤を使ってください。

略号:MF

耐熱温度:110〜130℃

性質

・陶磁器に近い質感。
・熱伝導率が低い。
・表面硬度が高く、傷がつきにくい。
・耐熱性、耐衝撃性、耐衝撃性に優れている。
・強酸や強アルカリに弱い。

 

1-4.【不飽和ポリエステル樹脂】

 

ガラス繊維入りのFRPが主流。

略号:UP

耐熱温度:130〜150℃

性質

・耐熱性に優れている。
・ガラス繊維で補強されており強度がある。
・アルカリや強酸に弱い。

 

1-5.【ポリエチレン】

・ポリスチレン:ポリスチレンの容器に酒、アルコール類を保存することは味に変化をきたしますので避けましょう。

ポリスチレンはレモンなど柑橘類の皮に含まれるテルペン油に侵されますので、
「レモンしぼり器」はAS樹脂、メタクリル樹脂またはポリカーボネート製のものを選ぶようにしましょう。

略号:PE

耐熱温度:70〜110℃

性質

・軽くて柔軟。
・耐薬品性、耐衝撃性に優れている。
・耐熱性は低いため、火や熱に弱い。

 

1-6.【ポリプロピレン】

・ポリプロピレン:容器の底などに「PP」とあるものは、基本的に電子レンジに対応しています。
密封容器はフタと本体とは材質が異なるものがありますので、使用前に確認しましょう。

略号:PP

耐熱温度:100〜140℃

性質

・柔らかくて軽い。
・耐熱性、耐薬品性、耐衝撃性に優れている。
・耐光性に弱い(日光、紫外線で劣化)。

 

1-7.【ポリスチレン】

スチロール樹脂とも呼ばれます。

略号:PS

耐熱温度:70〜90℃

性質

・無臭。
・透明性に優れている。
・傷がつきやすい。
・耐熱性、耐衝撃性、耐薬品性に劣る。

 

1-8.【ABS樹脂 (アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂)】

・ABS樹脂:食器では主に塗下の生地として、汁椀や松花堂弁当、お盆などの漆器商品に使われています。

略号:ABS

耐熱温度:70〜100℃

性質

・酸やアルカリに強い。
・光沢性、耐熱性、耐衝撃性に優れている。
・様々な物性においてバランスの取れた樹脂。
・有機溶剤に弱い。
・耐光性に弱い(日光、紫外線で劣化)。

 

1-9.【メタクリル樹脂】

アクリル樹脂とも呼ばれます。

・メタクリル樹脂:メタクリル樹脂の容器に酒、アルコール類を保存することは味に変化をきたしますので避けましょう。

略号:PMMA

耐熱温度:70〜90℃

性質

・表面硬度が高く、傷がつきにくい。
・透明性、耐候性、耐久性、耐衝撃性に優れている。

 

1−10.【ポリ塩化ビニル】

・ポリ塩化ビニル:柔らかく滑りにくい素材なので、コースターとして使えばカップやグラスの滑り止めに使えます。

塩ビとも呼ばれます。

 

略号:PVC

耐熱温度:130〜150℃

性質

・耐酸性、耐アルカリ性、耐候性に優れている。
・有機溶剤に弱い。
・耐熱性、耐衝撃性に劣る。

 

1-11.【ポリカーボネート】

略号:PC

耐熱温度:120〜130℃

性質

・軽い。
・非常に強い耐衝撃性を持っている。
・透明性、耐候性、耐熱性に優れている。
・耐薬品性、耐加水分解性(耐蒸気性)に劣る。

 

1-12.【ポリブチレンテレフタレート (PBT樹脂)】

PBT樹脂をガラス繊維で補強した樹脂。

略号:PBT

耐熱温度:60〜140℃

性質

・耐熱性、耐衝撃性に優れている。
・アルカリに弱い。

 

1-13.【ポリエチレンテレフタレート (PET樹脂)】

・ポリエチレンテレフタレート (PET樹脂):ペットボトルと同じ原料なのでリサイクル性に優れ、環境にも優しい。

PET樹脂をガラス繊維で補強した樹脂。

略号:PET

耐熱温度:200℃

性質

・透明性、耐熱性に優れている。
・耐酸性に劣る。

 

1-14.【シリコン樹脂】

・シリコン:冷蔵・冷凍はもちろん、レンジや食洗機が利用できるといった利点があります。
作り置きのおかずを入れて冷凍庫で保存しておいたり、食べる直前にそのままレンジにかけることができるので、
お弁当箱としてはもちろん、保存容器としても重宝します。

ケイ素樹脂とも呼ばれます。

略号:SI

耐熱温度:200℃

性質

・柔軟性がある。
・耐熱性、耐候性、撥水性に優れている。
・毒性、熱伝導率が低い。
・耐磨耗性、強度に劣る。

 

1-15.【AS樹脂 (アクリロニトリル・スチレン樹脂)】

略号:AS

耐熱温度:80〜90℃

性質

・傷がつきにくい。
・耐熱性、耐薬品性に優れている。

 

1-16.【ポリウレタン】

・ポリウレタン:ウレタン塗装された食器は、汚れや劣化に強く取り扱いも便利。

ウレタン樹脂とも呼ばれます。

略号:PU

耐熱温度:90〜130℃

性質

・弾性や柔軟性、引張り強度に優れている。
・耐熱性に劣る。

 

2.おわりに

いかがでしたか?

プラスチック製の食器はカラーバリエーションやデザインなど
種類も豊富で普段使いだけでなくおもてなしにも使えます。

軽くて落としても割れないので小さなお子様や
ペットのいるご家庭にはとくにおすすめです。

毎日使う食器だからこそ使い勝手がよいものを選びたいですね。

 

次回は【ガラス・土石・金属・紙・木】の種類や性質についてご紹介します。

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