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その他 2018.4.02

『長寿祝い』の由来と祝い方

青木

近年は、昔ながらの行事や風習などを省略したり、無くしてしまったりしがちです。
私達の先祖が受け継いできた風習や文化には、それなりの意味や価値があると思います。
『長寿祝い』もそんな風習の中の一つではないでしょうか?

長寿を祝う節目の年齢にはそれぞれ名前が付けられていて由来があります。
年配者を敬うことはとても大切です。
感謝の気持ちといつまでも長生きしてほしいことを願ってお祝いしてあげたいものです。
そんな『長寿祝い』のについてご説明していきます。

 

1.長寿祝いの種類と由来

1-1 還暦(かんれき)・・・60歳

「還暦」の由来をを知るには、干支(えと)について知っておく必要があります。

干支は別名を十干十二支(じっかんじゅうにし)といい、「甲・乙・丙・丁・戊・己・庚・辛・壬・癸」という10種類の「干」と、「子~亥」までの12種類の「支」を組み合わせて使います。
暦に使うときは十干と十二支を組み合わせて「乙未(きのとひつじ)」「丙午」などといいます。

たとえば平成元年生まれの人の干支は己巳(つちのとみ)ですが、十干と十二支の組み合わせには60通りがあり、次にもういちど己巳(つちのとみ)の組み合わせが巡ってくるのは平成元年の60年後、つまり平成61年ということになります。このとき、平成元年生まれの人は当然60歳です。

このように「60年で十干十二支が一巡してもとの暦に還(かえ)る」ことから、「還暦」と呼ばれるようになりました。60歳の誕生日を「暦が一巡するまで長生きした」ということで祝うのです。

 

1-2 古希または古稀(こき)・・・70歳

古希の由来は中国の唐時代の詩人、杜甫の詩の一節である「人生七十古来稀なり」が由来です。
これは「じんせいしちじゅうこらいまれなり」とよみ、「人の一生は短いもので,七〇歳まで生きる者は昔から少ない。」という意味です。
「稀」は「まれ」と読み、意味としてめったにない・めずらしい・少ない、という意味から、昔は70歳まで生きることが非常に「まれ」であったため、「古稀」となりました。
現在、お祝いをされる方の多くは、「長生きしてほしい」という希望をこめて、「古希」に「希」を用いる方が
多くなってきているようです。

 

1-3 喜寿(きじゅ)・・・77歳

還暦や古希のお祝いのルーツは、中国にあります。

還暦は、干支を一巡しもとの暦に還るという意味があり、古稀(古希)は「70才まで生きるのは稀である」という杜甫の詩からの言葉でした。

そのような流れの中、喜寿は日本が発祥と言われる行事です。
「喜」の字の草書体が七十七と書かれることから、77才になる年も長寿のお祝いをしようと、室町時代の末期ごろから始まったそうです。
「喜」の字の祝いともいうように

 

1-4 傘寿(さんじゅ)・・・80歳

傘寿(さんじゅ)の「傘」という字が略字にすると漢数字の『八十』と読めることから来ているとされています。
また「傘」を開く様子が末広がりに広がって、縁起がよいと言うことで「傘寿(さんじゅ)」と呼ばれるようになったともいわれてます。
また八十寿(やそじゅ)とも呼ばれています。

 

1-5 米寿(べいじゅ)・・・88歳

「米」という漢字を分解すると、縦に「八十八」と読むことができます。
そのため88歳を「米寿」と呼ばれるようになりました。末広がりの八が2つ重なることから大変めでたい年とされています。

米寿祝いでは、その昔「米の祝い」としてお米にまつわるものが贈られたそうです。
今でも、米寿にお米を贈る習慣が残っているところもあるようです。

 

1-6 卒寿(そつじゅ)・・・90歳

「卒」の略字である「卆」が九十と読めることから来ているとされています。
卒の字には「天寿をまっとうし、年を取って死ぬ」という意味が含まれているため、長寿を迎えるご本人を含め「縁起が悪い」と考える人もいるようです。
米文化が根強い日本では、全国的に、由来が「米」の字である88歳の「米寿」を盛大に祝う風習があります。
卒寿は米寿から2年しか経たないことからも、お祝いする人は少ないようです。

 

1-7 白寿(はくじゅ)・・・99歳

「百」の字から「一」を引くと「白」、100から1を引いた数が99なので、99歳の祝いを「白寿」と呼ぶようになりました。

 

1-8 百寿(ももじゅ)または紀寿(きじゅ)・・・100歳

百寿はその字が表す通り、100才をお祝いするものです。
100年=1世紀ということから紀寿(きじゅ)と呼ぶこともあります。

 

2.祝い方と贈り物

「長寿祝い」と言えば、昔は本人やその家族がお客様を招いて行ってました。
現在では、本人が「主役」として、家族が開催するお祝い会に招待されるというのが一般的です。

それぞれの長寿祝いには、祝いの由来にちなんだ色があるのを知っているでしょうか?
そんな祝いの由来にちなんだ色の贈り物をすることが多いので、それそれのカラーを紹介します。

 

・還暦(かんれき)・・・赤色

「こよみ(暦)が還る」という意味で還暦と呼ばれている事を説明いたしました。
還暦は年が巡って赤子にかえるため、お祝いに赤い物を贈ります。
また、赤は魔除けの色でもあり、厄除けの意味も込められています。

 

・古希または古稀(こき)・・・紫色

古稀を迎えた方には、尊敬の念を込めて、高貴な色だとされる紫色の物を贈ります。

 

・喜寿(きじゅ)・・・紫色

喜寿の祝い色は、古稀と同じ紫です。
喜寿の「き」と「黄」をかけて、黄色を用いる場合もあります。

 

・傘寿(さんじゅ)・・・金茶色・黄色

傘寿の祝い色は金茶色(黄色)。紫色と言われてもいるようです。
米寿の祝い色も金茶色(黄色)です。
80代の長寿祝いはすべて金茶色(黄色)と覚えておくのがいいのではないでしょうか。

 

・米寿(べいじゅ)・・・金茶色・黄色

米寿の祝い色は「米の祝い」と呼ばれているところから、たわわに実った金色の稲穂のイメージから
金茶色(黄色)になったのではないでしょうか。

 

・卒寿(そつじゅ)・・・紫色

卒寿の祝い色は、古希・喜寿と同じ紫色で、長寿祝いでもっとも多く使用されている紫色になります。
金茶のような派手さはありませんが、高貴な色とされる紫は、長い歳月を生きて来た方を敬愛する意味でふさわしい色ではないでしょうか。

 

・白寿(はくじゅ)・・・白色

白寿の祝い色は、名前にちなんだ白色です。
白色は無垢な色。日本では古くから神聖な場面で用いられる色です。

 

・百寿(ももじゅ)または紀寿(きじゅ)・・・桃色

百寿の祝い色は、百を「もも」と呼ぶことから桃色です。
白色は無垢な色。日本では古くから神聖な場面で用いられる色です。

 

長寿祝いの贈り物とと言えば「ちゃんちゃんこ」ですが、
現在は、60代でも現役で頑張っている方がたくさんいるなかで、お年寄り扱いするようなアイテムをプレゼントすると気を悪くされる人もいるかもしれません。
ライフスタイルや趣味・嗜好に配慮して選ぶのがよいと思います。

 

3.まとめ

77才を迎えたことをお祝いする喜寿以降の長寿祝いは、日本で発祥したものというのがわかりました。
祝い事やお祭りが好きだと言われている日本です。
古くは室町時代から始まった長寿祝いを、家族が集まるきっかけにすればいいのではないでしょうか?

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『長寿祝い』の由来と祝い方

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