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その他 2023.10.13

今流行の「鉄瓶」について徹底解明!~鉄瓶の歴史と産地~

奥山

皆さん、前回のコラムでは「鉄瓶」とはなにか、や鉄瓶のパーツについて説明させていただきました!まだ見ていない!という方はぜひ、「今流行の「鉄瓶」について徹底解明!パート1」を御覧ください!さて、今回のコラムでは鉄瓶の生産地、生産地ごとの特徴と歴史に関して触れていきます!

1.「鉄瓶」とは

 まず前回のおさらいとして「鉄瓶」とはなにか、を再度説明します!簡単に言えば「湯を沸かす鋳鉄製の器具」です。安土桃山時代に茶の湯が流行した際に用いられていた「茶釜」をより使いやすくし「注口」と「弦」がつけられたのが「鉄瓶」です。

2. 鉄瓶の生産地

鉄瓶というと「南部鉄瓶」が有名ですが、鉄瓶は岩手県の南部以外でも山形県の山形鉄瓶、栃木県の天明鉄瓶、東京都の江戸鉄瓶、富山県の高岡鉄瓶、三重県の桑名鉄瓶、大阪府・京都府の関西鉄瓶・京鉄瓶など、日本各地で作られており、産地それぞれの特徴や歴史があります。

2-1 岩手県「南部鉄瓶」

【特徴】

伝統的で高度な鋳鉄と技術が使われており、無骨な鉄肌と飾り気のない作風が特徴。

【歴史】

江戸時代に茶道に通じていた第28代南部藩主の南部重直が、自藩から良質の鉄が産出するのに着目して、京都の釜師、初代小泉仁左衛門を招いて茶釜を造らせたのが南部鉄器の起源といわれており、3代目仁左衛門の考案によって、現在のような形状の南部鉄瓶が造られるようになりました。

明治41年、後の大正天皇が盛岡を訪問した際に、8代目小泉仁左衛門の南部鉄器製作を褒め称えたことが全国に報道されたことが、南部鉄瓶が広く知られる事となるきっかけになったといわれています。

2-2 山形県「山形鉄瓶」

【特徴】

茶の湯がもつ素朴さがあり、薄肉で繊細な肌合いが特徴。

【歴史】

平安時代に源頼義と共に従軍した鋳物師が、山形市内を流れる馬見ヶ崎川付近の土質が鋳物に適している事を発見、この地に留まり鋳物造りを始めた事が発祥とされています。

江戸時代に入ると日用品や仏像が作られるようになります。江戸中期には梵鐘・燈篭等の大きな鋳物を造る技術も確立し、やがて、鉄瓶や湯釜などの美術工芸品も作られるようになります。

2-3 栃木県「天明鉄瓶」

【特徴】

全体的に簡素な趣があり、詫びた肌合いに素朴で力強い造形が特徴。

【歴史】

平安時代に唐沢城主の藤原秀郷が武具等を製作させる為に5人の鋳物師をその地に移り住まわせた事が始まりといわれています。茶の湯が広まった安土桃山時代には千利休が、天明釜で一会を催した旨の文献も残されています。

2-4 東京都「江戸鉄瓶」

【特徴】

薄肉で鋳肌が美しく、わびさびのある柔らかなフォルムが特徴。

【歴史】

江戸鋳物の始まりは安土桃山時代、徳川家康は江戸を軍事力・経済力のある城下町にする為、大工、左官、鍛冶屋、鋳物師など一流の職人達を江戸に呼び寄せたと言われています。

富山県「高岡鉄瓶」

【特徴】

蝋型鋳造による精度の高い複雑な造形や風合い、継ぎ目のない綺麗な鋳肌が特長。

【歴史】

安土桃山時代に加賀藩主前田利長が産業政策として鋳物工場を開設したのが始まりです。制作の中心が日用品から美術工芸品へと移行し、繊細で華美な細工が施された工芸品は世界各国の博覧会で多くの賞を受賞し称賛を浴びる事となります。

三重県「桑名鉄瓶」

【特徴】

実用的でシンプルで飽きのこない形状が特徴。

【歴史】

本多忠勝が鉄砲の製造をしたのが始まりと言われており、鉄砲の他に灯ろう、梵鐘、農具や鍋などが作られ、近辺で発見された砂が鋳造に適していた事から、桑名鋳物が躍進する大きな原動力となりました。

大阪府、京都府「京鉄瓶(関西鉄瓶)」

【特徴】

京都、大阪、滋賀で作られた鉄瓶で、造りが繊細で、象嵌等の装飾が施された物が多く、京文化の特性が反映されています。

【歴史】

龍文堂の初代四方龍文が京都で蝋型鋳造によって鉄瓶を造る事を創案し、複雑な形状の鋳物製作が可能となり、流麗で柔和な風合を持った鉄瓶が造られるようになりました。

3.まとめ

いかがでしたでしょうか。鉄瓶のといえばやはり「南部鉄瓶」のイメージが有りましたが、様々な生産地があり産地ごとに特徴もありますので、今回のコラムで他の産地の鉄瓶も興味を持っていただけたのなら嬉しいです。さて、次回のコラムは実際に鉄瓶を購入する際の選び方や鉄瓶のメリットとデメリットを紹介していきます。次回も是非見に来てくださると嬉しいです!

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