食器 2021.5.13
「 茶碗 」ときいて真っ先に思い浮かぶのは・・・
皆さん茶碗と聞いて真っ先に思い浮かぶのは、ご飯茶碗ではないでしょうか?
普段違和感なく「茶碗」と呼んでいますが、ふと、思ったことはありませんか?
なぜお茶を淹れてもいないのに茶碗と呼ぶのでしょうか?
今回は「 茶碗 」について紹介していきます!
1.茶碗の歴史
茶碗は本来、お茶を飲むときに使われていました!
ではなぜ、今では「茶碗」から真っ先に連想するのが「ご飯を入れる器」になったのでしょうか。
時代は奈良から平安に遡ります。この時代にお茶とともにお茶の道具も中国から伝わり、茶碗もこのときに日本に伝来しました。
当時の日本では磁器が作れなかったので、茶碗のほかにたくさんの磁器が中国から伝来しましたが、その中でもダントツで多かったのが茶碗です。
その為次第に磁器全般のことを茶碗と呼ぶようになりました。
豊臣秀吉の朝鮮出兵で日本に連れてこられた朝鮮の陶工が、磁器の国産に成功すると、江戸時代に入り国産の磁器が広まったことで庶民も磁器の茶碗にごはんを盛るようになり、「ごはん茶碗」と呼ぶようになります。
そしてお茶を飲む際の茶碗を「 抹茶茶碗 」、ご飯を盛る際の茶碗を「ごはん茶碗」と区別していましたが、主食であるお米を盛るために使用する「ごはん茶碗」がいつしかメインとなり、
「茶碗」=「ごはん茶碗」となっていったのです。
2.お茶碗のマナー
2-1 手に持って食べる理由
日本の食事のマナーとして、お茶碗や椀、小皿などは手に持って食べるというマナーがあります。食器を手に持って食べるという文化は日本ならではで、食器を手に持つ理由としては、昔お膳で食べていた際に食べ物と口の間に距離があると食べにくい為に、食器を持って食べるようになったとされています。
また、日本人は塩辛や大豆、黒豆など橋でつかみにくい食べ物を食べていた為、落とさずに口に運ぶために食器を手に持つ必要があったというのが理由として説明されています。
では食器をただ持てば良い!というわけではありません。正しい持ち方が存在します。
2-2 正しいお茶碗の持ち方
①右手でお茶碗を持ち上げます。その際に拇指は縁に軽く添え、残りの4本の指で横から胴を支えて持ち上げます。
※注意※
お茶碗を持ち上げる際に上から掴んだり、拇指がお茶碗の内側に入ることがないように注意しましょう!
②①の所為の後、左手の掌を上に向け、拇指以外の4本の指の隙間を開けずに揃え、持ち上げたお茶碗を左手の上に持っていき、揃えた指の上に高台、または糸底と呼ばれるお茶碗の底、円形状に突き出ている部分を乗せて両手でお茶碗を支え、左手の拇指をお茶碗の縁に添えて支えます。
※注意※
この際に指の上ではなく、掌の上に乗せないように注意しましょう!
また、①でも注意を促しましたが拇指がお茶碗の内側に入らないように注意しましょう!
このように拇指を縁に添え、高台を残りの4本指で支えることで茶碗が安定するので右手を離しても大丈夫となります、この形が正しい持ち方になります。
2-3 お茶碗の位置
2-3-1 配置
和食の献立は、ご飯などの主食、みそ汁などの一汁、メインのおかずである主菜、煮物や和えも尾などの副菜、副々菜の一汁三菜を基本とします。
左に茶碗、右に汁物、右奥に主菜、左奥に副菜、中奥に副々菜を配膳します。お漬物は真ん中に置きますが、一汁三菜には含まれません。
2-3-2 なぜ左に茶碗、右に汁物になったのか。
基本の由来には諸説ありますが、左上位という考え方が有力で、左上位の考え方は飛鳥時代に中国から伝わり、日本にも広がったといわれています。
皇帝から見ると、日は左である東から昇って、右である西に沈む為に、日の昇る東は沈む西よりも尊くなり、左が右よりも上位とされると考えられたそうです。
茶碗が左、汁物が右というところまでは平安時代に確立し、また茶碗と汁物以外を含めた配膳位置は幕末以降に武家による礼法として伝わり、一般家庭でも広がっていきました。
3.まとめ
いかがでしたでしょうか?今回はお茶碗の歴史とマナーについて紹介しました。殆ど毎日といっても過言ではないほどに使われ身近にある茶碗、しかし初めて知ったことも多かったのではないのでしょうか。歴史は豆知識として自分の知識に加え、マナーに関しては自分の日頃の持ち方と見比べ正しい持ち方ができていなければ直していくと良いのではないでしょうか。
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