その他 2020.3.03
割り箸の種類【形状】
日本独特の食文化『割り箸』。
一口に割り箸と言っても、形状や材質など様々です。
そこで、今回は【割り箸の形状】についてご紹介します。
本来、割り箸は客人をもてなすための食器でした。
割れていない割り箸は「この箸は未使用で清潔ですよ」
「あなただけのために用意しましたよ」という、おもてなしの心を形にしたものです。
目次
1.割り箸の種類
1-1.【丁六箸 (ちょうろくばし) 】
頭部を上から見ると長方形で、角を取ったり、
割れ目に溝をつけたりする加工が全く施されていない割り箸。
江戸時代に「丁銀」「丁六」と呼ばれ、広く出回っていた銀貨のように
世の中で広く使われて欲しいという意味を込めて「丁六箸」と名付けられました。
また「丁度六寸(約18cm)」という意味もあることから、箸の長さは他の種類に比べて短く、
お弁当用(コンビニ弁当など)の箸として使われることが多い。
1-2.【小判箸 (こばんばし) 】
「丁六箸」の四隅を削り、持ちやすくした割り箸。
持ち手部分の切口が小判型に見える事から『小判箸』と名付けられました。
家庭用や大衆食堂など、汎用的に使用される割り箸です。
お客様へのおもてなしには向きませんので、使用しないようにしましょう。
1-3.【元禄箸 (げんろくばし) 】
「小判箸」の中央にV字型の溝をつけて割りやすく加工したもので、
現在最も多く流通している一般的な割り箸。
正式名称『元禄小判箸』。
元禄時代、幕府が財政難になり金の量を減らして作った「元禄小判」が由来。
これと同様に、元禄箸も溝をつけて木の分量を減らしたことからこのような名前がつけられました。
家庭用のほか、ラーメン店、居酒屋、コンビニエンスストアなど多くの場面で使われています。
ただし、小判箸と同じく大衆的な割り箸ですので、おもてなしには向きません。
1-4.【天削箸 (てんそげばし) 】
天と呼ばれる持ち手側の片側を斜めにカットし、木目の美しさを強調した割り箸。
「天を削ぐべからず(逆さにするべからず)」から来ていると云われる様に、
箸の上下を逆さまに使わないという意味が込められています。
見た目が美しいため、主に高級料亭や家庭においてお客様をもてなすときに用いる。
1-5.【双生箸 (そうせいばし) 】
箸が丸く、持ち手側の先が四角の形状をした割り箸。
円型で持ちやすく、おもてなしにも最適です。
1-6.【利久箸 (りきゅうばし) 】
千利休がお客様のために一膳一膳自ら削ったとされる
「おもてなしの心」から生まれた割り箸。
箸の真ん中が太く、両端にいくにつれて細くなっている左右対称の両口箸。
ぴったり箸がくっついており、仲の良い夫婦の様であるところから
『夫婦利久 (めおとりきゅう) 』とも呼ばれます。
「利休」ではなく「利久」としたのは、商人たちが「利を休む」という語呂を嫌い、
いつまでも続くようにという願いを込めて「永久」の「久」の字が使われました。
おもてなしの席や、寿司店、日本料理店などにおすすめです。
また、片方だけが細い片口箸「片口利久 (かたくちりきゅう) 」と呼ばれる型もあります。
1-7.【卵中 (らんちゅう) 】
厳密には割り箸ではありませんが、
最初から割れている利久箸を帯で留めた最高級品。
『バラ利休箸』『一本利休箸』とも呼ばれます。
一膳ずつ帯がついているため、おもてなし膳やお正月、
お食い初めなど祝いの席におすすめの割り箸です。
真ん中が卵のようにふくらんでいることから「卵中」と呼ばれ、
子孫繁栄や五穀豊穣の願いが込められています。
1-8.【祝箸 (いわいばし) 】
お正月や婚礼などの祝い膳に用いられる縁起箸。
両端が細く真ん中が太くなっている丸箸で『両口箸』とも呼ばれています。
これは、箸の片方は人間が使い、もう一方を神様(ご先祖様)が使って、
お正月のお雑煮やおせち料理を一緒にいただくという“神人共食”を意味しています。
また、他にも『柳箸』『俵箸』『はらみ箸』とも呼ばれ、
名称によって様々な意味や由来を持っています。
長さは、縁起が良い末広がりを意味する「八」の数字にちなんで、
八寸(約24cm)とされており、柳の木や白木で作られています。
1-9.【竹割箸 (たけわりばし) 】
熊本県南部および鹿児島県北部の竹材を利用して開発された割り箸。
現在では、ほとんどが中国からの輸入品です。
丈夫で折れにくく「油を吸わない」という特長があるため、
天ぷらやうなぎ、中華料理などの油物を扱った飲食店や、
ご家庭では鍋物用として利用されています。
また、滑りにくくて使いやすいので麺類にも最適です。
2.長さについて
割り箸の長さは基本的に4種類あります。
・6寸 (165mm)、7寸 (180mm):折り箱や仕出し弁当での使用が多い。
お弁当容器に合わせた短いサイズ。
・8寸 (210mm):コンビニや家庭用。幅広い用途で使用されている長さ。
・9寸 (240mm):高級感を引き出せる長さ。懐石料理や宴会などで使用。
通常サイズの21cm、長めのサイズの24cmの割り箸が主流。
また、割り箸には独特の慣習があり、表示されている寸法より1寸(約3cm)短くなっています。
(【例】「8寸元禄」:実際の長さは7寸(21cm)、「9寸利久」:実際の長さは8寸(24cm))
3.おわりに
いかがでしたか?
形状ごとの特徴を把握し、目的や料理に応じて選んでみてください。
ちょっとしたひと工夫で『おもてなしの心』の伝わり方も変わってきますよ。
次回は【割り箸の種類《材質》】についてご紹介します。
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