食器・厨房コラム

食器・厨房コラムcolumns食器・厨房コラム

器の老舗 和泉屋だからこそ知っている、プロも役立つとっておきの情報をブログ形式で配信しています。

その他 2020.3.27

知ってましたか?お菓子の語源あれこれ《 洋菓子編 -その2- 》

遠藤

普段何気なく食べている『お菓子』。

お菓子の名前ひとつひとつにどのような意味が隠されているか知っていますか?

今回は《洋菓子》の名前の由来や語源ついてご紹介します。

 

1. 洋菓子

1-1.【タルト・ブルダルー】

出典元:wikipedia

 

タルト生地にアーモンドクリームを流し入れ、洋梨を敷き詰めて焼いたお菓子。

名前の由来には2つの説があり、
《パリのブルダルー通りに店を構えていたパティシエにより考案されたから》
《長い説教で有名だったイエズス会の説教師ルイ・ブルダルーにちなんで命名されたから》といわれている。

 

1-2.【ミルフィーユ】

3枚のパイ生地の間にクリームを挟んだお菓子。

フランス語で「mille」は“千”「feuille」は“木の葉”のことで、直訳すると「千枚の葉っぱ」という意味です。

パティスリーのシェフであるド・デュボス氏が
《たくさんの層にふくらむパイ生地をみて『千枚の葉っぱのようだ』と表現したこと》から名付けられました。

 

1-3.【シブースト】

パイ生地にフルーツとクレームシブーストを乗せ、表面をキャラメリゼしたフランスのお菓子。

《考案したパリの菓子職人“シブースト”の名前から》『シブースト (chiboust)』と命名されました。

ちなみに、この菓子職人シブーストは、シュー生地を使ったフランス菓子「サントノーレ」の生みの親でもあります。

 

1-4.【タルトタタン】

バターと砂糖でいためたりんごを焼き型に入れて、その上からタルト生地をのせて焼き上げたフランスのお菓子。

《「ホテル・タタン」を経営していた“タタン姉妹”が、りんごのタルトを作っている時に
うっかりタルト生地を敷き忘れて焼いてしまい、慌ててタルト生地を上からのせて焼いた》という失敗から生まれたタルトです。

焼き上がったタルトをお皿にひっくり返して盛り付けるので、
『タルト・ランヴェルセ (Tarte renversee):逆さまのタルト』とも呼ばれています。

 

1-5.【クロワッサン】

バターをパン生地に練りこんで焼き上げるフランス発祥のパン。

《フランス語で「三日月」を意味する“croissant (クロワッサン)”》が語源となっています。

ちなみに、イタリアでは“小さな角”という意味の『コルネット (cornetto)』、
中国語では羊や牛の角に似ていることから『羊角麺包』や『牛角麺包』と言います。

 

1-6.【パルミエ】

断面がハート型になるように折り重ねたパイ生地を薄く切って焼き上げたフランスの伝統菓子。

《ヤシの葉に形が似ているため》フランス語で“ヤシの木”という意味である『パルミエ (palmier)』と名付けられました。

 

1-7.【スフォリアテッラ】

出典元:snapdish.co

貝殻の形をしたパイ生地の中にリコッタチーズベースのクリームを詰めた南イタリア・ナポリの伝統的なお菓子。

『スフォリアテッラ (Sfogliatella)』の語源はイタリア語で《ひだを何枚も重ねた》という意味で、
その名の通り、薄いパリっとした生地が何重にも重なっています。

ちなみに、三角形のパリパリしたパイ生地の“riccia (リッチャ)”と
丸くてしっとりとしたタルト生地の“frolla (フロッラ)”の2種類があります。

 

1-8.【ガレット・デ・ロワ】

1月6日の公現節(エピファニー)をお祝いして食べるフランスの伝統菓子。

「公現節」とは、東方の三賢者(Rois mages)が星に導かれ、
キリストの生誕を祝福するためにベツレヘムを訪れたことを記念する日です。

また「東方の三賢者」は名前の由来にもなっており、フランス語で
《「円形のお菓子」を意味する“galette”と「王様」という“roi”をあわせて》
『ガレット・デ・ロワ (galette des rois):王様のお菓子』と名付けられました。

パイ生地にアーモンドクリームが入った丸い形のものが一般的で、
公現節に限らず1月中楽しむ伝統菓子としてフランスの新年には欠かせないものとなっています。

『ガレット・デ・ロワ』には“パイの中に隠れている「フェーブ」という小さな陶器の人形が誰に当たるか”
という普通のお菓子とは違った楽しみがあります。

ケーキを切り分けたときにこの人形が入っていた人は王冠をかぶり、
その日一日「王様」「女王様」として集まった人々から祝福され、その年は幸せに過ごせるといわれています。

フェーヴとはフランス語で“そら豆”という意味であり、
そら豆が胎児の形に似ていることから、ヨーロッパでは古代から命のシンボルとされ、
結婚や農耕にまつわる祭事の際には、そら豆が振舞われていたといわれています。

また、表面に描かれている4種類の模様には意味があり、
渦巻き状の“太陽”は「生命力」、葉っぱ模様の“月桂樹”は「勝利」、格子状の“ひまわり”は「栄光」、
矢羽模様の“麦の穂”は「豊穣」を表しており、縁起の良いモチーフとなっています。

ちなみに、東方の三賢者を幼子イエスへと導いた大きな星は『ベツレヘムの星』と呼ばれており、
人を良い方に導く、希望を表すものとしてクリスマスツリーのてっぺんに飾るようになったのです。

 

2.おわりに

 

いかがでしたか?

 

フランス発祥のお菓子『ミルフィーユ (mille feuille)』。

日本では『ミルフィーユ』という発音が一般的ですが、正しくは『ミルフイユ』または『ミルフォイユ』。

フィーユ(fille)と伸ばして発音してしまうと『女の子』という意味の単語になるので
“ミルフィーユ=千人の女の子 (mille filles)”になってしまいます。

『ミルフィーユ』と『ミルフイユ』、フランス語だと全く違う意味になりますのでご注意ください!
次回は《 洋菓子編 -その3- 》の名前の由来や語源ついてご紹介します。

このコラムが気に入ったらシェアしよう!

知ってましたか?お菓子の語源あれこれ《 洋菓子編 -その2- 》

普段何気なく食べている『お菓子』。 お菓子の名前ひとつひとつにどのような意味が隠されているか知っていますか? 今回は《洋菓子》の名…