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その他 2020.6.01

ハーブの種類《クッキングハーブ》

遠藤

独特な香りや風味を持つ『ハーブ』。

数えきれないほどの種類があり、料理の風味や香りづけ、
アクセントとしても欠かせない存在です。

そこで今回は、香りでお料理をグレードアップしてくれる《クッキングハーブ》の
効能や効果的な使い方についてご紹介します。

 

1.ハーブとは?

 

『ハーブ (Herb)』の語源は、ラテン語で“草”を意味する「Herba (ヘルバ)」に由来し、
「料理や園芸など、暮らしに役立つ香りのある植物」として幅広く活用されています。

 

2.クッキングハーブの種類や効能は?

 

2-1.しそ

和風ハーブとしてお馴染みの「しそ」。

縄文遺跡から種が見つかるほど「しそ」の歴史は古く、
薬味や刺身のつまとして和食には欠かせない存在となっています。

しそには、中国でカニを食べて食中毒を起こした少年に
紫色の薬草を煎じて飲ませたところ、元気を取り戻したという逸話があり、
“紫の葉で命を蘇らせる”ということから「紫蘇 (しそ)」と名づけられたと言われています。

しその芳香成分の半分以上を占める「ぺリアルデヒド」は、強い殺菌作用・防腐効果があり、
食中毒を予防するほか、消化酵素の分泌を促し、食欲を増進させて胃の調子を整える作用があるとされています。

刺身のつまや料理のあしらい、薬味に欠かせないのはこのためなんですね。

 

1-2.ローリエ

煮込み料理に欠かせない「ローリエ」。

別名【ローレル (英名)】、和名【月桂樹 (ゲッケイジュ)】。

ローリエは単に香りづけだけではなく、肉や魚などの臭みを消す効果があり、
料理のおいしさをぐっと深めてくれるハーブです。

また、ローリエの葉には防虫効果もあるので、
乾燥させた葉を米びつなどに入れておくと虫除けになりますよ。

 

1-3.ローズマリー

ピリッと爽やかな香りが特徴の「ローズマリー」。

別名【マンネンロウ】【迷迭香 (メイテツコウ)】。

羊肉、豚肉、イワシやサバなどクセの強い素材の臭み消しとして使われるほか、
じゃがいもやかぶなどの下茹でに少量加えると、香りがついて美味しくなります。

油と相性が良く、油料理に最適。フライドポテトにまぶしても美味しいですよ。

ローズマリーティーは頭痛や疲労、風邪、インフルエンザ、消化不良、リウマチの痛みなどに効果的。
また、強力な殺菌・抗炎症作用があるので、自然素材の安心なうがい薬を作ることができます。

 

1-4.コリアンダー

独特な強い香りを持つ「コリアンダー」。

別名【コエンドロ】【シラントロ】【パクチー】【香菜 (シャンツァイ)】【カメムシソウ】。

非常に強いクセがあるので好みが大きく分かれますが、サラダやスープ、
肉や魚料理のトッピングなど、タイやベトナムの料理にはかかせない存在です。

消化を助ける働きがあるので、食べ過ぎたときは胃もたれ防止として食後のハーブティーがおすすめ。
また、抗菌作用もあるため、口臭や体臭の予防にもなります。

 

1-5.オレガノ

イタリア料理に欠かせない「オレガノ」。

別名【ワイルドマジョラム】【花薄荷 (ハナハッカ)】。

トマトとの相性が抜群なので、ピザやパスタ、煮込み料理などに。

胃腸の調子をよくして、消化を促進してくれる働きがあるほか、
咳や頭痛・生理痛の緩和、風邪の予防、心身の疲労回復などにも効果的です。

また、生葉を噛むと一時的に歯の痛みを和らげることができます。

 

1-6.セージ

“ソーセージ”の語源になったともいわれている「セージ」。

別名【ヤクヨウサルビア】。

古くから不老長寿のハーブとして知られており、
「長生きしたければ5月にセージを食べなさい」ということわざもあるほど。

一般的に料理やお茶に使われるのは「コモンセージ」で、肉や魚との相性がいいほか、
乳製品ともよく合うので、クリームソースやバターソースなどに加えると風味豊かな味わいになります。

ハーブティーは、口内炎や喉に痛みがある時のうがい薬におすすめ。
ホルモン分泌調整作用も有名で女性特有の更年期障害によるほてりや寝汗、生理痛や生理不順などにも効果的。

また、虫刺されの応急処置として、生葉を患部に擦り込むと炎症とかゆみをすばやく抑えてくれます。

 

1-7.タイム

古くから薬用として使われてきた「タイム」。

和名【タチジャコウソウ】。

タイムの仲間は多くさまざまな品種が存在しますが、最もよく使われるのは「コモンタイム」。

ポトフや煮込み料理に欠かせない“ブーケガルニ”のひとつとしても知られており、
肉や魚介類、野菜の臭みを消して料理を美味しく仕上げてくれます。
(※ブーケガルニとは:香草類を数種類束ねたもので煮込み料理などの風味付けに使われます。)

タイムは数あるハーブの中でも最も強い殺菌効果と抗ウイルス作用を備えているので、
風邪やインフルエンザなどの感染予防、のどの痛みには濃いめに煮出したハーブティーでうがいをするのが効果的。

古代エジプトではミイラを作る際の防腐剤・保存剤としても使われていました。

 

1-8.フェンネル

個性的な甘い香りの「フェンネル」。

別名【ウイキョウ】【フヌイユ】【フィノッキオ 】。

魚料理との相性が良く、ヨーロッパでは「魚のハーブ」と呼ばれています。

刻んだ葉に豚ひき肉と調味料をあわせて皮で包んだ“フェンネル餃子”もお手軽で美味しいですよ。

「フェンネルを見かけて摘まない者は愚かだ」という格言があるくらい多くの効能を持ち、
胃腸の消化促進、眼精疲労改善、便秘解消などのほか、利尿・発汗作用によりむくみの改善にも効果的。

また、母乳分泌を促進する作用があり、授乳中の母乳の出を良くすることも期待できるのです。

 

2.おわりに

 

いかがでしたか?

手軽に楽しめるハーブですが、体質や体調によっては悪影響を及ぼす可能性もあります。
妊娠中や授乳中、重い病気のある方、アレルギー症状のある方は、専門家のアドバイスを聞いた上で十分注意して使用してください。
また、ハーブと呼ばれる植物でも全てが食用というわけではありませんので、使用前に必ず確認してください。

次回は、香りを活かして生葉を薬味として食べる《サラダハーブ》をご紹介します。

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