食器・厨房コラム

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その他 2021.6.07

『 香炉 』ってなに?

奥山

香炉、と聞いてぱっと思い浮かぶ用途は人それぞれかと思います。

お香を焚く器である香炉は、宗派や地域の風習によって使用する香炉に違いがあり、用途も若干の違いがあります。

1 香炉の歴史

仏教の起源地である古代インドには気候やスパイスの文化から、香りを焚く風習が古くからありました。

スパイス王国であるインドでは臭気を防ぐために豊富な香料をブレンドしたお香を体に塗抹して香りを纏う習慣があったとされています。

これが仏教の法事に使われるようになり、仏前で香りを焚き周囲を清めるようになったそうです。

その文化がギリシャやエジプト、ローマへと伝来し、一方アジア圏では古代中国や朝鮮を経て日本に伝来し、香炉は香供養具として重要な仏具となりました。

日本への伝来については、奈良時代の歴史書「日本書紀」に、595年に香木が淡路島に漂着したことが残っており、

漂着した香木は島の住人が知らずに燃やしてしまいました。その際に非常に良い香りがしたためにすぐに朝廷に献上したというエピソードが記されています。

桃山時代には、茶道とともに様式も徐々に整備され、江戸時代初期には行動の大まかな流れが完成し、庶民にも浸透していったということでした。

また、もともとは仏具でしたが、香道や部屋の調度品などにも用いられるようになりました。

現存する日本国内最古の香炉は「法隆寺」が所蔵する飛鳥時代の(※1)真鍮製の(※2)柄香炉といわれています。

※1真鍮製:銅と亜鉛を混ぜ合わせた合金のこと。

※2柄香炉:導師が法要儀式の際に持つ柄のついた香炉。

2 香炉の用途

2-1 様々な用途

 

香炉とは香料を加熱し、香りを発散させるために使用する「器」のことを指します。

仏具においては、灯明、花瓶と合わせて、「三具足」「五具足」といわれる重要なものです。

また、キリスト教では、カトリックや正教会の礼拝の際に振り香炉と呼ばれる香炉が使用され、乳香といわれる香と、炭を入れて使用されます。

2-2 仏具における香炉

 

香炉は仏具において、灯明、花瓶、とともに三具足、五具足の一つに位置付けられており、仏具として使う香炉には仏壇用と焼香用があります。

 

2-2-1 五具足、三具足

 

仏壇に壮厳する基本的な仏具を合わせた総称で、法要などで仏前を荘厳する道具のことを具足と呼びます。

 

『 五具足 』

「香炉」「灯明1対」「花瓶1対」を合わせたもの。

配置: 中央に「香炉」、香炉の両外側に「灯明」、灯明の両外側に「花瓶」を配します。

『 三具足 』

「香炉」「灯明」「花瓶」を合わせたもの。

配置: 向かって左から「花瓶」「香炉」「灯明」を配します。

 

ただし宗派によっては上記の配置ではなくなる場合もあるので注意が必要となります。

また、伝統的には「香炉、灯明1対、花瓶1対」が五具足とされてきましたが、近年では「香炉、灯明、花瓶、仏飯器、茶湯器」の、

5つをセットにして五具足として販売している仏壇店もあります。

 

2-2-2 仏壇用、焼香用

 

『 仏壇用 』

仏壇用の香炉には多くの種類がありますが、一般的なのは前香炉と土香炉です。

 

土香炉の中には、透かし模様があしらわれた透かし香炉や、丸みを帯びた形の玉香炉などがあり、広口の前香炉を使うことが多いです。

選考を2~3回に折り横にした状態で焚きます。

玉香炉は、本尊の前に置き飾り香炉として使います。三本足の香炉は一本足を手前にしておくようにします。

『 焼香用 』

代表的な香炉としては、焼香用角香炉があり、右にお香左に香炭を入れて使用します。

 

 

墓地で法要を行い際は、手提げが付いているタイプのものを使用します。

また、火舎香炉と呼ばれる浄土真宗系で用いる真鍮製の香炉もあり、こちらに関しても焼香用として使われるのが一般的で、蓋に煙を出す穴がある三脚の香炉です。

 

2-3 正教会における香炉

正教会では香炉を祈祷の際に用いる伝統を旧約時代からの伝統として大切にしており、頻繁に香炉が用いられ、香には乳香が用いられます。

公祈祷においてのみならず、私祈祷においても香炉を用いることが奨励されています。ただし私祈祷では振り香炉ではなく小さな置き香炉が用いられます。

香炉から立ち上がる煙のように祈りが天に届くことを祈願し記憶するという精神的意味があります。

振り香炉の形状は金属製の鎖によって吊り下げられた金属製の香炉で、鈴が鎖につけられていることが多く、

振り香炉が降られる際に発せられる鈴の音は、参祷者に祈りを促すとともに聖堂において炉儀が行われていることを聖堂内の信徒に知らせる働きを担っています。

 

 

2-4 西方教会における香炉

カトリック教会や聖公会にも振り香炉を用いる伝統は存在し、日常的に用いられていたがほかの種類の香炉と合わせ、

現在では使用頻度は下がっています。正教会との違いとしては、香炉を振る際に縦ではなく横に振ることですが、

縦・横の相違が東西協会の間に生じた理由については分かっていません。

 

3 日常生活にお香を

序盤に触れましたが、元々は仏具として伝来した香炉ですが、最近ではインテリアの一部として、

リラックス効果やお部屋の消臭、雰囲気作りとして香炉を購入される方が増えてきています。

弊店でもインテリアに向いている香炉を販売しております。

岩鋳さんの香炉で、蓋の部分が桜、銀杏、雪の結晶ととてもかわいらしいデザインとなっています。

お部屋に一つ置くだけで雰囲気が変わり、季節感を取り入れることもできる商品です。

贈り物にも最適で、喜んでいただける商品です。

香炉としての使い方はもちろん小物を入れたりなどの使い方もできます♪

こちらの香炉は弊店舗に足を運んでいただいても、楽天ショップでもご購入いただけます。

 

さくら購入ページ:https://item.rakuten.co.jp/izumiyanet/10005927/

いちょう購入ページ:https://item.rakuten.co.jp/izumiyanet/10005928/

ゆき購入ページ:https://item.rakuten.co.jp/izumiyanet/10005929/

 

4 まとめ

いかがでしたでしょうか?香炉の歴史や用途について紐解いていきました。

宗派によって用途が違えば、現代では多種多様な香炉が存在し、花の香からフルーツの香、

その他飲料の香などを楽しめるお香も増えてきています。

ぜひこの機会に香に関して興味を持っていただけると嬉しく思います。

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