食器・厨房コラム

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その他 2021.7.13

食器を長持ちする方法とは!?

奥山

お気に入りの食器、できるだけ長く使いたいですよね。
愛用している食器、これから愛用していきたい食器の長持ち方法を今回は紹介していきます!
土器や陶器はお手入れ次第で長持ちさせることができます。
そもそも焼き物の種類に関して、日常生活で深く考えない人も多いのではないのでしょうか。
まずは焼き物の種類から触れていきましょう。

1. やきものの種類

やきものと呼ばれる器は大きく分けると「 土器 」「 炻器 」「 陶器 」「 磁器 」の4つに分類され、
「 陶磁器 」と呼ばれる場合は焼き物全般を指していることが多いのですが、主に陶器と磁器のことです。

1-1 「 陶器 」

陶器は自然から取れる粘土を原料として作られたものを指します。
陶器を作るための土を陶土と呼びますが、陶土を整形して素焼きをし、
その後(※)釉薬をかけて1100度~1300度程度で焼きます。
目の荒い土を使っている為釉薬をかけていても吸水性があり、ややもろく、ぶつけたりすると欠けやすいため扱う際は注意が必要です。
厚めに作られることが多く、温かみのある印象を受けます。その厚さゆえに温度の変化に強いメリットもあり、光にかざしてみても光を通すことはありません。
ざらざらとした質感の素地が特徴的なので、釉薬がかかっていない高台部分などから見分けることができます。

「 陶器 」… 粘土を使い1100~1300度で焼いたもの。吸水性があり、光を通さない。

1-1-1(※)釉薬 とは

陶磁器の表面に付着したガラス層のこと。「うわぐすり」ともいわれている。
素焼きの後に施釉(せゆう:釉薬を塗ること)し、本焼きをすると釉薬が高温で熔けて、陶磁器の表面でガラス質になります。

1-1-2 釉薬の役割

◆装飾…多種多様な色・釉調を表現することができます。
◆強度…ガラスでコーティングしてより丈夫になります。
◆汚れにくい…水・汚れを吸収しにくくなります。
身の回りには白い食器をはじめとし、黒や茶など多種多様な器があります。
これらは釉薬ごとの豊かな色彩で私たちの目を楽しませてくれ、
さらにガラス質に覆われた器面は、より丈夫で汚れを通しにくい役割を担っています。

1-1-3 釉薬の成分と働き

釉薬の成分を3つに分けると「塩基性(≒アルカリ性)」「中性」「酸性」の物質からできています。
◆塩基性…釉薬を熔かす役割。アルカリ性の(※1)媒熔原料。草木の灰や石灰。
◆中性…釉薬と素地粘土を接着させる役割。(※2)アルミナのこと。
◆酸性…高温で熔けてガラスになる役割。(※3)シリカのこと。
※1 媒熔原料:酸化カルシウムなどの石灰質。
※2 アルミナ:酸化アルミニウムの総称。
※3 シリカ:二酸化ケイ素のこと。

釉薬とはアルカリ質の媒熔原料(灰)・アルミナ・シリカからできているといえる。

1-2 「 磁器 」

磁器の原料は、陶石という岩石を細かく砕いたもので、磁器を作るための土は磁土と呼ばれています。
焼成温度は1300度程度で、陶器より高い温度で焼かれるのが特徴で、焼きあがるとガラス化するため硬くなり、
軽く指で弾いてみた際に金属を叩いたときのような音がします。水も通しません。
磁土は非常に目が細かく、白くツルっとした手触りに焼きあがります。釉薬を掛けていない部分もサラサラとした滑らかな手触りです。
薄手に作られることが多く、光にかざすと透けて見えることもあります。熱しやすく冷めやすいため、熱いものを入れたときは注意が必要です。
陶器よりはかたいです。割れると断面が鋭くなるので素手で触らないようにしてください。

「 磁器 」… 磁土を使い、1300度程度で焼いたもの。ガラス質でかたく吸水性はないが、光を通す。

1-3 「 炻器 」

炻器の原料は陶器と同じで陶土なのですが、陶器と違う点は高温で焼き締められているという点です。
1200度~1300度で長時間焼かれるため、かたくて吸水性のない器になります。丈夫で傷がつきにくいのがメリットです。
叩くと磁器のように高い音がしますが、陶土を使っているため磁器と違って光を通すことはありません。
釉薬をかけずに焼かれることが多く、薪を使って焼くため自然釉と呼ばれる木の灰がかかって独特の風合いが生まれるのが特徴です。

「 炻器 」…陶土を使い、1200~1300度で長時間焼いたもの。かたくて吸水性がなく、光を通さない。

1-4  「 土器 」

もともと焼き物の源流にあたるもので、当時は野焼きといい地面の上や地面に掘った穴の中で火をおこして焼いていました。
そのため焼成温度は700度~800度程度。
高温で焼くことができず、釉薬を掛ける技術もなかったために脆くて水を通す器です。
土器を食器として扱うことは難しいです。

「 土器 」…粘土を使い、700~800度で焼いたもの。脆くて水を通し、釉薬もかかっていません。

2. 食器を長持ちさせる方法

1ではやきものの種類について紹介しました。
因みに 「 半磁器 」といって陶器と磁器の良いところをミックスしたやきものもあります。
陶器らしいざらりとした柔らかな風合いと、磁器らしい強度の両方を持っていて、
オーブンや電子レンジで使えるものも多く、とても使いやすい器もあります。
私たちが普段使う洋食器や和食器には上記で紹介した「 陶器 」と「 磁器 」が多く、
陶器を長持ちさせるためにはお手入れが必要になります。
使い始める前に目止めをした方が良いのですが、陶器の中には目止めが必要ないものもあるので、
購入するときに確認をする、取扱説明書に目を通すと安心です。

2-1 「 目止め 」とは?

目止めとは、使ううちに水が染み出してくるのを防いだり、
汚れがついてしまうのを防ぐために表面の細かい穴をふさぐことです。
一般的に磁器の器は変色や臭いが付きにくいので目止めを行う必要はありません。
ただし、陶器の器は細かい凹凸があり、凹凸部分に食材などが入り込むことで、
変色や臭いを発生させてしまうので、目止めが必要になります。
ただし、陶器の種類によっては目止めをすることで逆に臭いが付いてしまう器もあるので、
確認が必要になります。

2-2 「 目止め 」のやり方

2-2-1 「 器 」の場合

・ 器の目止めには、米のとぎ汁か小麦粉を水に溶かしたものを使用します。
・ 大きめの鍋に①と陶器を一緒に入れます。
・ 20分ほどかけて、じっくりを弱火で沸騰させます。
・ 沸騰したら火を止めて、器を入れた状態で冷まします。
・ お米のとぎ汁が冷めたら、器を取り出して、丁寧に洗ってぬめりを落とします。
・ 陶器についた水気をふき取り、完全に乾かしたら完了です。

2-2-2 「 土鍋 」の場合

陶器で作られた土鍋も目止めを行ってあげることで、変色や臭い、ヒビを予防してあげましょう。
・ 土鍋を水でしっかり洗って水気をふき取り、自然乾燥させます。
・ 土鍋の8分目あたりまでお水を入れて、お米を投入します。
・ お粥を作る要領で弱火でじっくりと煮込んで、お粥が出来上がったら火を止めます。
・ 土鍋をお粥ごと完全に冷めるまで放置します。
・ 完全に冷めたらお粥を取り出し、土鍋をきれいに水洗いします。
・ 水気をふき取り完全に乾かしたら完了です。

3. まとめ

いかがでしたでしょうか?
食器を長持ちさせる技とやきものの種類に関して今回はご紹介させていただきました。
今後自分で食器を買う際に「これは陶器だ」、「これは磁器だ!」と見分け、
陶器を購入した際には長もちさせる為に手入れなどしなくてはいけない事も、
考慮して購入するのが良いのかもしれません。目止めには少し時間と手間がかかってしまいますが、
やるかやらないかで陶器の持ちにはかなりの差が出ます、
折角気に入って買った食器が変色してしまったり臭いが付いたりするのは、
本当にがっかりすると思いますので、長持ちさせたい食器ほどやってみてあげてください。

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