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その他 2018.2.08

おいしいお茶を淹れる急須の選び方

髙橋

最近ではペットボトルやティーバッグ、インスタント等で
手軽に日本茶を楽しむことができるようになり、
ちょっと手間のかかる急須でお茶を淹れる人が減っているようです。
とは言え、やはり香りや味は急須で淹れたお茶にはかないません。

急須はお茶を淹れるために作られた道具で、
急須に茶葉とお湯を入れて待つ間に乾燥した茶葉が湯に浸って広がり
揉みこまれていた味や香りが出てきておいしいお茶になります。

おいしいお茶を淹れるためには、茶葉やお湯、淹れ方なども大切ですが
急須によっても味は大きく変わります。
急須のことを知り、もっとおいしく日本茶を楽しみましょう。

1.急須のタイプ

急須には主に以下の4つのタイプがあります。
お茶は種類によってお湯の量や温度が違いますので
そのお茶にあった急須を選びましょう。

1-1.横手型 急須

注ぎ口とほぼ90度に持ち手がある急須で、
日本茶の急須としてはもっとも一般的なものです。
片手で蓋をおさえながらお茶を注ぐことができます。
小中サイズのものが多く、少人数で煎茶を淹れるのに適しています。

1-2.後手型 急須

注ぎ口と反対側に持ち手がある急須で
比較的高さのあるものが多く、
紅茶のティーポットや中国茶の急須に多いタイプです。

1-3.上手型 急須

急須の上部に持ち手がある急須で、
土瓶などの大きなものに多いタイプです。
お湯の量が多く重くても持ちやすい形状なのでたっぷり淹れる場合や
持ち手が上にあるので番茶やほうじ茶など淹れる温度が高いお茶に向いています。

1-4.宝瓶

2

持ち手がないタイプの急須で小さいサイズのものが多く、
持ち手がないので直接持っても熱く感じない低温で淹れるお茶
(玉露等)に向いています。

 

2.急須の大きさ

・2~3人用:200ml~340ml
・3~4人用:340ml~480ml
・4~5人用:480ml~600ml

会議や会食に多人数のお茶を淹れる事務所やお店では、
800~1000cc程度入る大急須があると便利です。
また、玄米茶やほうじ茶は大き目の湯呑でたっぷり飲む方が多いので
600ml~800ml程の大きめの急須や土瓶タイプがおすすめです。

3.急須の材質

3-1.味をまろやかにする「炻器・陶器」

急須というと、常滑焼や萬古焼を思い浮かべる方も多いと思います。
一定の吸水性と水に含まれる不純物を取り除く性質があり、
お茶のアクがとれ、まろやかになります。
使えば使うほどお茶の味が急須本体にしみ込みより味わい深くなっていきます。
ただ、吸水率が高いので漂白剤などを使用すると薬品臭で
お茶がまずくなってしまう場合がありますので気を付けましょう。

3-2.味と香りをストレートに出す「磁器」

磁器は石粉を1300度以上で焼成しており白色なのが特徴です。
有田焼が代表的で、陶器と比べると吸水性は劣りますが
その分茶葉やお湯そのものが持つ本来の味と香りを堪能できます。

3-3.見た目にも楽しい「耐熱ガラス」

抽出されるお茶の色の変化や茶葉が開いていく様子が見える
見た目にも楽しめるガラス製の急須は、
お茶の味や香りをストレートに出すのが特徴です。
尚、通常のガラスでは熱湯を注いだ際に割れる危険性がありますので
高温に耐えられるように加工された耐熱ガラス製を選びましょう。

3-4.使うほどに味が出る「鉄製」

他の素材にはない重厚なデザインと耐久性が特徴の鉄製。
鉄製の急須で有名なのが南部鉄器です。
繊細な味を出すのには適していませんが
ほうじ茶や玄米茶を淹れる分には問題なく使えます。
なお、南部鉄器でお湯を沸かすと鉄分が溶け出し鉄分補給ができるので
急須でも鉄分補給ができると誤解されることがありますが
お茶を淹れるための急須は内部にホーロー加工が施されている場合が多く、
その場合は鉄分が溶け出しません。

3-5.価格も手ごろで割れにくい「樹脂製」

アクリルやポリカーボネートといった透明な素材を用いた急須は、
中身が見えるだけでなく割れにくいのが最大の特徴です。
価格もお手ごろなものが多く普段使いにも最適です。
小さなお子様がいるご家庭や、握力が弱くなり普通の急須では重く感じたり
割ってしまうかもと不安に思っている方におすすめです。

 

4.お茶の種類と茶漉しの相性

4-1.陶器茶漉し

急須本体と同じ素材で穴をあけているものです。
茶漉しの穴が非常に細かいものから大きめのものまで種類があります。
お使いになる茶葉の形や大きさ合わせてお選びください。
後述の網茶漉しより目の粗いもが多いので、
茶漉しの穴を抜けて茶葉や茎が流れ出ることがあり、
茶柱を期待する方にもおすすめです。

4-2.網茶漉し

陶器茶漉しに比べて目が非常に細かく、
深蒸しや粉茶などの細かい茶葉を淹れるのに適しています。
もちろん、大きめの茶葉を淹れることもできます。
急須の内側に帯状に網を回してある帯網や、
注ぎ口を大きく囲むように楕円形の網が付けられているオーバル、
急須の内側の底に沿うように網を張ってある底網などがあります。

 

急須を選ぶポイントとしてデザインや色柄も気になりますが、
蓋の収まりがよく、注ぎ口の切れがよいものや、
手になじんで使いやすく、茶殻の始末などお手入れがしやすいのも
大切なポイントです。

 

5.急須を育てる

陶器の急須は使い込むほどに味わいが増し、見た目も色艶にも深みが出ます。
中国では「急須は育てるもの」「急須と友人は古い方が良い」と言われ、
急須を使い込んで香りを移していく「養壺」という文化もあります。
まずは茶葉の種類をひとつに限定し、
使い終わった後は洗剤を使わず熱湯だけで洗い、自然乾燥。
これを続けていくうちにお湯を注ぐだけで香りが立ち、
風味に深みが増していきます。

 

6.まとめ

近年は昔ながらの急須以外にも、雑貨店やセレクトショップ等で
おしゃれな急須を見かけることも増えました。
普段気にしていない急須コーナーをちょっとのぞいてみたら
お気に入りの急須に出会えるかもしれせん。

ペットボトルやティーバッグのお茶の手軽さは
もちろん忙しい毎日の味方ではありますが、
たまにはのんびりと、お気に入りの急須と茶葉で
「急須で淹れたお茶」を楽しんでみてはいかがでしょうか。

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