食器・厨房コラム

食器・厨房コラムcolumns食器・厨房コラム

器の老舗 和泉屋だからこそ知っている、プロも役立つとっておきの情報をブログ形式で配信しています。

その他 2021.9.04

固形燃料の正しい使い方

旅館の料理などでよく使われる「固形燃料」。
気軽に使えて便利なアイテムですが
使い方を間違えると体に害を及ぼすことがあります。
今回は、固形燃料の種類や基本的な使い方などをご紹介します。

1.固形燃料とは

固形燃料の主成分は“メタノール (メチルアルコール)”。
酢酸カルシウムなどで固めたもので、食材の過熱や保温に使われます。

1-1.固形燃料の種類

固形燃料と言ってもその種類は様々。
主に形状の違いで4タイプに分かれます。

【卓上タイプ】

飲食店でよく見かける使い切りサイズの固形燃料。
下がアルミ箔で覆われているものが多く、後片付けがしやすいのが特徴。
また、コストパフォーマンスにも優れ、使いやすいのが魅力です。
アルコールの蒸発防止のためにプラスチック製フィルムで覆われており
フィルムを外さずにそのまま点火して使用します。

100均などでも手軽に入手できる比較的身近な固形燃料です。

【缶入りタイプ】

一度点火しても、缶の蓋を閉めれば何回でも使えのるのが特徴。
燃焼時間が2時間程度のものが多く、カレーやシチューなどの煮込み料理もできます。
缶の蓋が五徳の形状になっているものならそのまま鍋をのせて使えて便利です。
長期保存が可能なので、非常用・防災用としてもおすすめ。

【タブレットタイプ】

アウトドアで使われることが多く、安定した強い火力が特徴。
量を調節することで、燃焼時間や火力のコントロールができ
用途に合わせて無駄なく使えます。

2~3個同時に使用して強い火力にすることも可能。
もちろん炭や薪の着火剤としても使用できます。

【ゼリータイプ】

ゼリー状の燃料が袋に入っている使い捨てタイプ。
袋に直接火をつけるだけなので、手を汚さずに扱うことができます。
密閉された状態なので、揮発しにくく長期保管可能です。

防災アイテムとしてもおすすめ。

1-2.固形燃料の使い方

固形燃料の使い方はとても簡単です。
専用のコンロに置いて火をつけるだけ。

火を近づけるとすぐに着火し、勢いよく炎があがるので
ロングタイプのライターやマッチでの着火がおすすめです。

固形燃料を安全に使うには

【固形燃料と調理器具の間に隙間を作る】

固形燃料と調理器具に間に3~4cm(およそ指2本分)の隙間をあけましょう。
空気の通る隙間があることで火力が安定し、不完全燃焼による異臭の発生なども防げます。

【煮こぼれに注意】

煮汁が固形燃料にかかると火が消えたり、燃焼が不安定になります。
煮こぼれしないよう、具材の量に適した大きさの鍋を使用してください。

【誤って口に入れないよう注意】

小さいお子様やペットがいる場合は、誤飲に気をつけてください。

メタノールは摂取してしまうと失明や意識障害の危険性だけでなく、最悪の場合死に至る
可能性もありますので、必ずお子様の手の届かない、見えないところに保管しましょう。

《《 誤って食べてしまった場合の応急処置 》》
直ちに多量の水又は牛乳を飲ませて吐かせ、すぐに医師の診察を受けてください

【直火で食材を加熱しない】

固形燃料は燃焼する際にメタノールが揮発しますので
直火調理をするとニオイや味が食材についてしまう恐れがあります。

また、アレルギーや体質によっては体に害がある可能性がありますので
必ず鍋や鉄板を介し、直火を避けて加熱しましょう。

※ 焼網を使う場合は、食材に直接火が当たらないようにアルミホイルなどを使用してください。

【燃焼時は換気に注意】

換気の悪い狭い部屋での使用は不完全燃焼を起こし、目が痛くなる事があり
また酸欠の恐れがあります。

《《 燃焼時に目が痛くなった場合の応急処置 》》

直ちに清浄な空気を入れて換気を行って下さい

【固形燃料を直接手で触れない】

固形燃料はゴム手袋などで持つのが正しい取扱方法です。
使用後はよく手を洗い、クリームを塗る等のお手入れをおすすめします。

《《 皮膚に付いた場合の応急処置》》

(石けん) 水で十分に洗い流して下さい

【燃焼中に固形燃料をいじらない】

燃焼中の固形燃料に他の燃料を継ぎ足したり、箸などで燃えている燃料を突かないでください。
飛び火、またはコンロが転倒したりして危険です。

1-3.固形燃料の燃焼時間

固形燃料の燃焼時間はタイプにより大きく異なります。

【卓上タイプ】

10g:約13~17分、20g:16分~22分、30g:18~26分
サイズが大きくなるほど使用時間が長くなります。

【缶入りタイプ】

250gで120~150分程度

【タブレットタイプ】

1タブレットあたり約5~12分

火力を強くしたい場合は2~3個同時に使用する、
長時間加熱したい場合は継ぎ足して使うなどお好みで調整できます。

【ゼリータイプ】

10~20分程度のものが多い 

使う用途に合わせた燃焼時間を確保すれば無駄もありませんね。

※ 燃料の大きさ・商品・周辺の環境(天候など)により異なります

1-4.固形燃料の消し方

固形燃料は基本的に一度火をつけたら完全に燃え尽きるまで使用してください。
どうしても途中で火を消したい時は、火消し蓋を使うと安全に火を消すことができます。
燃焼時間が長い缶入りタイプは付属の蓋を閉めるだけでOK。
息を吹きかけて火を消すのは、事故や怪我の原因になり大変危険です。

緊急の場合は大量の水で消火してください。

1-5.固形燃料の保存方法

固形燃料に使用されるアルコールは非常に気化しやすい性質を持っています。
卓上タイプやタブレットタイプは、一つずつラップでしっかり包み
チャック付き袋や密閉できるタッパーに入れて保管するようにしてください。

缶入りタイプはしっかり蓋を閉めることでアルコール成分の気化を防止することができます。
品質維持の為に、風通しの良い涼しい場所での保管をおすすめします。

2.おわりに

いかがでしたか?
手軽で便利なアイテム「固形燃料」。
それぞれの燃料の特徴を正しく理解して安全に使用しましょう。

このコラムが気に入ったらシェアしよう!

固形燃料の正しい使い方

旅館の料理などでよく使われる「固形燃料」。気軽に使えて便利なアイテムですが使い方を間違えると体に害を及ぼすことがあります。今回は、…