その他 2018.3.05
『お食い初め』って何のためにやるの?
医学が発達していなかった時代、赤ちゃんが無事に成人する確率は、とても低く、
幼い命が失われることは少なくありませんでした。
そのため、昔は1つ節目を超えるごとに、赤ちゃんの成長を喜び、その先の健康と幸せを祈ってきました。
そんな儀式の一つに『お食い初め』があります。
そんな『お食い初め』の儀式についてご説明していきます。
1.お食い初め(おくいぞめ)とは。
『お食い初め』とは、赤ちゃんが生まれてから100日目に初めて食べ物を与えるマネをさせる儀式の事
生後100日というと個人差はありますが、赤ちゃんに乳歯が生え始める時期。
そんな成長を喜びお祝いする事と、子供が一生食べ物に困らないことを願い行います。
地域により「百日の祝(ももかのいわい)」「歯固め」「箸ぞろえ」「箸始め」「箸祝い」「真魚始め(まなはじめ)」
と呼ぶ場合もあり、110日目、120日目におこなうところもあります。
2.お食い初めの歴史
『お食い初め』の儀式は、平安時代から行われているかなり歴史ある祝い事です。
元々は生誕から50日目にあたる日、箸を使って餅を子供の口に少し含ませる「百日の祝」という行事がありました。
やがて鎌倉時代には餅から魚肉に変わり「真魚初め」と呼ばれる行事になりました。
こういった儀式は、よく名称や内容を変えて現在にも残っているというパターンが多い傾向にあります。
『お食い初め』もその中の一つと考えて間違いないでしょう。
3.お食い初めの献立
伝統的な形の『お食い初め』には、一汁三菜の「祝い膳」が用意されます。
一汁三菜とは、ご飯のほかに、汁物が1品とおかずが3品付く食事のこと。
基本メニューは次の通りです。
・赤飯(ご飯)
「赤」は古くから魔除けや厄払いの力があり、成長を守る色でもあります。
・吸い物(汁椀)
ハマグリ:良縁を意味する
吸う力が強くなるように
・焚き物(煮物碗)
蓮根:先を見通せる力が付くように
筍:まっすぐスクスクと育つように
・香の物(酢の物や漬物)
紅白なます
タコの酢の物:「多幸」という語呂合わせ
・尾頭付きの焼き魚
鯛:「めでたい」という語呂合わせ。祝い膳には欠かせない魚。
さらに、丈夫な歯が生えるように、歯固めの小石と、
シワがいっぱいになるまで長生きできるように梅干を添える習慣もあります。
4.お食い初めの食器の習わし
お食い初めで使用する食器は「祝い膳」で、脚付き膳に漆器(漆塗りの器)になります。
お箸は柳の白木で新品を用意します。
「百日の祝」が始まった平安時代には陶磁器はなく漆器を使っていたことから由来します。
脚付き膳を使うのも、当時はお膳を使って食事をしており、それが日本古来の食事方法だからです。
器の色は、男の子用と女の子用で異なります。
男の子用は朱塗り、女の子用は外側が黒塗りで内側は朱塗りになります。
一見、朱塗りが女の子用に思いそうですが、朱が黒よりも高位な色とされていたため朱塗りが男の子用となっていました。
5.習わしにこだわる必要はあるの?
「お食い初め」の決まりごとの多くは、昔ながらのやり方をそのまま引き継いだものです。
今は時代にあわせ、昔ながらのやり方にこだわる必要はないでしょう。
現代はテーブルで食事をするのが一般的です。脚付き膳の代わりにお盆やトレーを使ってもいいと思います。
また食器に関しても、漆器にこだわらず陶磁器や樹脂製のベビー食器セットを使用してもいいでしょう。
6.まとめ
現代は医学が発達し、便利な物が増え暮らしが楽になり、昔ながらの行事や風習などを省略したり、無くしてしまったりしがちです。
昔ながらの行事には、大切な意味があったり、思いが込められたりしています。
『お食い初め』の本来の意味は、子どもの健やかな成長を願い、子どもの大切な記念日を家族が共に過ごすことにあるのではないかと思います。
必ずしも形式にとらわれる必要はないので、子供の成長を祝う一つの行事として引き継いでいきたいです。
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