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その他 2023.7.29

「釉薬」とは?

奥山

皆さん、「釉薬」ってご存知ですか?器の話題になるとよく耳にする、目にするのが「釉薬」。実際「釉薬」ってなんだろう、と疑問に思っている方はいるのではないでしょうか?今回のコラムでは釉薬について紹介していきます。

1.「釉薬」とは

釉薬は陶磁器の表面を覆うガラス質の膜のことを指します。
釉薬は自然の鉱物を原料にしており、焼成するとガラス質に変化します。

2.「釉薬」にはどんな役割があるのか

釉薬は陶磁器の素地に水や汚れが染み込むことを防ぎ、丈夫で扱いやすくしてくれます。また、多種多様な色や釉調を表現することができ、装飾の役割もあります。

  

3.「釉薬」の種類

釉薬には種類があり、それぞれの特徴があります。

3-1 透明釉

艶のある無色透明の釉薬です。
素地の色や質感を活かすことが出来るので様々な器に使われる一般的な釉薬です。

3-2 灰釉

最も古くからある基本の釉薬です。
木や草を焼いた灰で作っており、灰の原料によって乳白色から淡青緑、黄褐色など様々に発色します。
同じ釉薬でも1つ1つ表情の違う味わいのある器に仕上がります。

3-3 織部釉

銅を加えることで緑色に発色する釉薬です。
酸素を取り込んで焼成した場合は緑色になりますが、酸欠状態で焼成すると赤色に発色します。この赤色の釉薬のことを辰砂釉といいます。

3-4 飴釉

茶褐色の飴色に焼き上がる鉄分が主成分の釉薬です。
鉄分の多い釉薬に酸素を十分に補給しながら焼くことで飴色になります。

3-5 青磁釉

灰に含まれる微量の酸化鉄が酸欠状態で焼くことで淡い青緑色に発色します。
鉄分が少なくなれば青白磁のような淡い色になり、鉄分がほぼ含まれなければ白磁や染付のような透明釉になります。

4.釉薬はなぜ色んな色に発色するのか

釉薬の多くには金属の成分が含まれており、代表的な金属は「鉄」や「銅」です。
釉薬は高温焼成されることで金属との化学反応で発色します。
分かりやすい例をあげると、「鉄」は錆びると赤くなる、だから鉄を含む釉薬は赤くなる。ということです。

5.まとめ

いかがでしたでしょうか。今回ご紹介した釉薬の種類は、ごくごく一部です。沢山の種類の釉薬によって「やきもの」がより魅力的なものへ変わります。同じ釉薬を使っても、釉薬や生地の成分の微妙な違い、焼成法、燃料など、さまざまな条件で発色の仕方が異なる釉薬、その奥深さが、今日の焼物の多彩な表現を可能にしているともいえます。

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