食器・厨房コラム

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その他 2023.8.23

「せいろ(蒸篭)」のある生活を楽しんでみませんか?

髙橋

蓋を開けると、熱々の蒸気と共に中華点心や色鮮やかな野菜、艶々のおこわなどが顔を出すせいろ(蒸篭)。
ちょっと憧れつつも、使い方が難しいんじゃ…なんて思って使うのを躊躇していませんか?
使ってみれば案外使い方は簡単、そして便利なせいろ(蒸篭)の選び方や使い方、お手入れ方法などをご紹介していきます。

01.せいろ(蒸篭)とは?

お湯を沸かした鍋にのせ、その蒸気で食材を調理する竹製や木製の調理器具です。

蒸気で水分を補いながら加熱することで食材がふっくらと美味しく仕上がります。
茹でると水分に流れ出てしまう栄養分が、蒸すことにより食材に残りやすく、
それにより、食材本来の味を楽しむことができます。
また、すのこ状になった底から肉や魚の余分な脂が適度に落ちるのでカロリーが抑えられ、
「食事はできるだけヘルシーに…」と思っている方にもおすすめです。

竹や木で作られた温かみのあるフォルムで食卓にそのまま出せるので
蒸し上がった料理をそのままテーブルに出せば、出来立て熱々をすぐに食べることができます。
いつもと違った食卓の雰囲気を楽しみつつ、洗い物も少なくて済むのは魅力的。
人が集まった際には、大きなせいろに熱々の蒸し料理でおもてなしするのも素敵ですよね。

02.どんな種類があるの?

せいろには、中華せいろと和せいろがあります。
和せいろは中華せいろより深さがあり、高さのある茶碗蒸しの器を使う場合や、
おこわを蒸す場合などに便利です。

一般的にご家庭で使われている中華せいろは2~3段重ねられて使い勝手が良く、
初めてせいろを使う方には中華せいろがおすすめです。

素材としては、竹、杉、桧のものがあり、
竹せいろ → 他の素材に比べて木の香りが弱いので、木の香りが苦手な方におすすめ
杉せいろ → 蒸した時に杉の良い香りがします
桧せいろ → 木の繊維が細かいので丈夫で、木目が美しく、業務用によく使われています

価格的に一番お手頃なのが杉せいろ、次が竹で、最も高級なのが桧です。
素材によって耐久性は異なりますが、蒸し上がりに大きな違いはありませんので、
価格や木の香り等、ご自分の生活スタイルに合ったものお選び下さい。

03.サイズの選び方

1人分としては1段18cm~21cmくらいが目安です。
1~2人暮らしの場合、このくらいのサイズを2~3段、
3~4人家族なら24cm以上のものを用意するのがおすすめです。

中華せいろなら、3段までは重ねてムラなく蒸せるので、
1人用×人数分重ねて蒸したり、メインと副菜をそれぞれ別の段で蒸したりと
一度に調理する用途を考えて、必要な段数をお選びください。

せいろを使って調理する際に欠かせないのが鍋です。
手持ちの鍋を使う際、せいろより鍋が小さい場合はせいろに火があたって焦げるので使えません。

せいろにぴったりな鍋や、せいろ専用の鍋もありますが
ご家庭にある鍋を利用する際、せいろとサイズが合わない場合は蒸し板のご利用をおすすめします。
真ん中に蒸気を通す穴のある蒸し板を使う事でサイズが違う鍋でもせいろが安定するので安全に蒸すことができます。
また、サイズの合う鍋でも、直接のせるよりせいろの焦げを防ぐことができ便利です。

04.使い方

※新品のせいろは、まず空焚きを
新品のせいろは、木くずや汚れが付着している場合があります。
また香りも強い場合があるので、それらを取り除き
本体を水分に慣らし、変形や割れを防ぐために空焚きをします。
空焚き:せいろに何も入れずにそのまま蒸し、その後、水洗いをして干します

通常の使用方法

・食材をのせる前に、せいろ全体を水でしっかり濡らします
 食材の匂いがせいろに移るのを防ぐのと、鍋の熱でせいろが焦げ付くのを防ぐためです

・鍋に湯を沸かす
 たっぷりのお湯を、湯気が出るようしっかり沸騰させる。
 お湯がなくなったまま火にかけているとせいろや鍋が焦げてしまいます
 特に小さな鍋の場合はお湯の減りが早いので、
 調理中も湯気の有無に注意しながら、必要なら熱湯を足してください

・せいろに食材を入れ、鍋にのせて蓋をする
 食材(野菜や肉、魚等)は、火の通りやすい物は大きめに、火の通りにくいものは小さめにカットし
 火の通りをそろえると美味しく蒸しあがります
 野菜等はせいろに直接並べてもいいですが、肉や魚、点心等は脂や肉汁、匂いが出るので
 クッキングシートやキャベツ等の葉野菜を敷いてからのせることをおすすめします
 それにより、せいろに脂汚れやニオイが染み込むのを防ぐことができ、せいろが長持ちします
 おこわは、布巾や専用の蒸し布に包んで蒸します

 せいろは上下段同じように加熱できますが、下段に火の通りにくいもの、
 上段に火の通りやすいものや、蒸し汁をつけたくないもの(冷やごはんの温め等)という
 順番で重ねるといいでしょう

・強めの中火にかけ、十分に蒸気が上がる火加減を保ち、蒸す
 鍋のお湯がなくなって空焚きにならないよう、必要なら鍋に熱湯を足してください

05.お手入れ方法

 せいろは調理時に高温の蒸気で殺菌されているので、
 生野菜などを蒸して汚れがつかない場合は洗う必要はありません。
 食材の汚れが付いた時は、湿らせた布で拭くか、タワシやスポンジで水洗いします。
 油汚れやソースのシミなど、汚れがひどい場合は、ぬるま湯でさっと洗うか、
 微量の洗剤で洗って、完全に洗い流してください。
 (この汚れを防ぐためにも、クッキングシートや葉野菜の使用をおすすめします)

 他の調理器具のように洗剤を付けて流水で洗ったり、つけ置き洗いをしてしまうと
 洗剤や水分がせいろに浸透してしまい、乾ききらずにカビの原因になってしまいます。
 せいろは過剰な水分で割れや変形が起きてしまうので、
 汚れがひどくないなら洗わず、軽い汚れなら濡れた布で拭く程度にし、
 その後は陰干しにしてしっかりと乾燥させてください。
 直射日光は割れや歪みの原因になりますので避けてください。

 とにかく、せいろは使用後熱いうちにすぐ片付けるのが鉄則です。
 冷めて乾くと匂いや汚れが取れなくなってしまうのでご注意下さい。

06.保管方法

 せいろを使った後(もしくは洗った後)は、水をよく切り、しっかり乾燥させてください。
 斜めに立てかけて乾かす場合は、たまに表裏を返すことにより早く乾かすことができ、時短になります。
 完全に乾燥させずに保管すると、せっかくのせいろが湿気ですぐにカビてしまいます。

 普段使いする場合は、乾燥後、風通しの良い、直射日光の当たらないところで保管、
 壁に吊るして保管するのも、乾燥させつつ、ちょっと絵になって一石二鳥ですよね。

 しばらく使わない場合は、新聞紙や布などに包み、シンク下などは避けて、
 こちらも風通しの良く直射日光の当たらないところで保管します。
 ビニールなど密封される状態での保管は通気性が悪くカビが発生する可能性があるので避けて下さい。

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