食器・厨房コラム

食器・厨房コラムcolumns食器・厨房コラム

器の老舗 和泉屋だからこそ知っている、プロも役立つとっておきの情報をブログ形式で配信しています。

その他 2019.5.20

【焼き物】絵柄の種類 十草・籠目・唐草・蛸唐草・麦藁手・網目・七宝・山水

遠藤

焼き物に施される文様には有職文様や吉祥文様、動植物や景色を描いたものと多彩な種類があります。
日本を代表する伝統文様の種類は100種類を超えるといわれており、絵柄の配置や色で印象もだいぶ変わってきます。

そこで、焼き物に使われている絵柄にはどんな種類があるのかいくつかご紹介したいと思います。

今回は【十草・籠目・唐草・蛸唐草・麦藁手・網目・七宝・山水】をご紹介します。

 

焼き物の文様の源をたどると、多くは遠くペルシャやシルクロードにさかのぼり、
中国を経て日本の風土に適した文様へと変化しました。

 

1.有職文様(ゆうそくもんよう)とは

 

中国唐朝から伝わった文様を日本風にした文様です。

平安時代から、公家や学者といった「有識者」の装束に用いられたことからこの名前で呼ばれるようになりました。

一般庶民には見ることすら出来ない、とても高貴な柄として長い間貴族の中でだけ受け継がれていきましたが、
鎌倉時代の頃には武家にも使われ、次いで一般庶民にも使用されるようになりました。

円や曲線、六角形など、図形を中心に構成されているのが特徴で、「亀甲文」「七宝文」「菱文」「立涌文」などがあります。

 

2.吉祥文様(きっしょうもんよう)とは

 

「良い兆し」「めでたいしるし」とされる動植物や品物を描いた柄の総称です。

「長寿(健康)」を願う鶴亀や菊、「成長」を表す竹や龍、「福を呼ぶ」宝尽くしなど縁起の良いモチーフがたくさんあります。

 

3.絵柄の種類

◆十草(とくさ)

:縦縞の模様で古くから日本で親しまれてきた模様の一つ。

真っ直ぐに伸びたトクサの茎を文様にしたシンプルで洗練されたデザインであり、
湯呑をはじめ、お茶碗やお皿など多くの器に描かれています。

「金を磨くときに十草の葉で磨くと光沢が増す」と言われていることから、金を呼ぶ縁起が良い絵柄です。

十草は「木賊」「砥草」と表記されることもあります。

 

◆籠目(かごめ)

:竹籠の編み目を図案化したもの。

正三角形を上下に重ねた籠目文様は、単独にすると『六芒星』とも言われています。
この六芒星は「六角星」や「ヘキサグラム」とよばれ、ユダヤ教では神聖な文様とされおり、
日本でも同じように神秘的なものとされました。

正三角形を上下に重ねた星型の形は、邪を払う力があるとされ魔除けのしるしとして使われたりもします。

伊勢神宮にある石灯籠には、籠目文が単独で記されています。

◆唐草(からくさ)

:蔓(つる)をデザインしたもの。

風呂敷の模様としても用いられていることからよく知られている文様です。

蔓は生命力が強く四方八方どこまでも伸びていきます。
そんなところから、唐草模様は「長寿・繁栄」を象徴する縁起のいい模様として多用されてきました。

日本の唐草模様には唐草のみのものと、花と唐草が組み合わさったものがあり、
「牡丹唐草」「葡萄唐草」「菊唐草」「藤唐草」などがあります。

◆蛸唐草(たこからくさ)

:唐草文様の一種。

渦状に巻く蔓(つる)の外側に葉を簡略化してつけると、
それがちょうど蛸の足の吸盤をおもわせるところから俗に蛸唐草文様と呼ばれます。

 

◆麦藁手(むぎわらて)

:麦藁を表現した、太さの異なる線の縦縞模様。

天に向かって伸びた穂を刈り取った後の麦に見立てた文様で、色の組合せで様々なバリエーションがあります。

十草と似ており「麦藁十草」と言って両者をミックスした模様もある。

 

◆網目(あみめ)

:漁業で使用する網をモチーフにした柄。

いちばん馴染みがあるのは、ふぐ刺しの大皿ですね。

『網』は福を「からめとる」「すくいとる」ものとして商売の世界では昔から喜ばれました。
また、網打って一網打尽にするように敵を打ち負かすようにと武将の紋に使われたりもしました。

他に、ひっかけ網、玉網(たまあみ)、寄網(よせあみ)などの網目文様があります。

・ひっかけ網:網目同士をひっかけるように交差させる
・玉網:網のつなぎ目が玉になっている
・寄網:網目の間隔が寄ったり離れたりと不規則になっている

 

◆七宝(しっぽう)

:七宝は、仏教の経典に書かれている七つの宝物 「金」「銀」「瑠璃」「珊瑚」「瑪瑙(めのう)」
「玻璃(はり)」「千年生きるとされるシャコガイ」に由来すると言われる文様。
(※瑠璃は【ラピスラズリ】、玻璃は【水晶】のこと)

同じ大きさの円を4分の1ずつ重ねて繋いでいく文様で「輪違い」とも呼ばれます。

それら7つの宝を1つに図案化した七宝は、絶えることのない永遠の連鎖から「調和」、拡大から「円満」という意味を持つ。

中心に花を据える「花七宝」、重なる円弧の部分に小円を重ねる「星七宝」、連続させた「七宝繋ぎ」などがあります。

 

◆山水(さんすい)

:山と水を取り合わせた自然風景を文様化したもの。

人物・樹木・建物などと組み合わせる場合もあります。

山水と建物が組み合わせてある文様を「山水楼閣(さんすいろうかく)」といいます。

 

4.おわりに

いかがでしたか?

文様にはそれぞれ願いや祈りが込められています。

昔から受け継がれてきた文様をこれからも大切にしていきたいものですね。

次回は【千鳥・丸紋・祥瑞・青海波・一閑人・龍田川・市松・水玉・流水】をご紹介します。

このコラムが気に入ったらシェアしよう!

【焼き物】絵柄の種類 十草・籠目・唐草・蛸唐草・麦藁手・網目・七宝・山水

焼き物に施される文様には有職文様や吉祥文様、動植物や景色を描いたものと多彩な種類があります。 日本を代表する伝統文様の種類は100…