食器・厨房コラム

食器・厨房コラムcolumns食器・厨房コラム

器の老舗 和泉屋だからこそ知っている、プロも役立つとっておきの情報をブログ形式で配信しています。

その他 2019.5.22

【焼き物】絵柄の種類 千鳥・丸紋・祥瑞・青海波・一閑人・龍田川・市松・水玉・流水

遠藤

焼き物に施される文様には多彩な種類があります。

文様には古い由来を持つものが多く、どうしてその文様が使われているのか?
なぜその場所で使われているのか?その意味に気が付くかもしれませんね。

 

今回は【千鳥・丸紋・祥瑞・青海波・一閑人・龍田川・市松・水玉・流水】をご紹介します。

 

絵柄の種類

◆千鳥(ちどり)

水辺を群れて飛ぶ千鳥の姿はとても優美で、昔から衣服や調度品の模様として親しまれてきました。

「千鳥」=「千取り」の語呂合わせから、多くの幸せを手に入れるとして「勝運祈願」や「目標達成」の意味を込めて使用されます。

特に縁起の良い組み合わせは「波に千鳥」です。

「青海波(せいがいは)」の上を2匹の千鳥が飛んでいる模様は、
「波(=困難)を避けて仲良く飛ぶ2匹」という意味となり【夫婦の絆】や【家内安全】を表します。

 

◆丸紋(まるもん)

円形の紋。「水玉」と違い丸の中に図柄が描かれている構図が多い。

ありふれた丸模様ですが、円には始まりも終わりもないことから「無限」を表すおめでたい柄として施されます。

 

◆祥瑞(しょんずい)

青海波、七宝、格子などの連続した幾何学文様を細かく描き込んだ文様。

中国明代末期の茶陶染付の器の底に「五良大甫 呉祥瑞造」の銘があるところからこの名称が付けられました。

もともとは中国の最大の陶窯である景徳鎮(けいとくちん)でよく使われていた絵柄です。

文様ごとに放射線状の枠で囲んでいたり、丸い窓で囲んでいたり、
デザイン性が高く最上級の格を持つとも言われている文様でもあります。

 

◆青海波(せいがいは)

扇型を交互に重ねて波を表した模様。

名前の由来は舞楽の「青海波」という曲の衣装にこの文様が描かれていたことから由来しているといわれています。
また、元禄時代の漆職人で青海勘七という人がこの模様を描いたことからともいわれています。

無限に穏やかな波が続いていることから、未来永劫の平穏な暮らしが続くようにと願いを込めて使用されてきました。

他に、扇型の部分が菊の花になった「菊青海波」、松になった「松青海波」、菱形になった「菱青海波」などがあります。

品選びの際は文様の揃い具合、特に蓋物は蓋と本体の文様がきちんとつながっているかをチェックしてみてください。

 

◆一閑人(いっかんじん)

皿、鉢、盃などの口造りの一端に人形がついているもののことをいいます。

一人の閑人(暇な人)が井戸を覗いているように見えることからこの名がつきました。
しかし、人形が子供の姿であることが多いため、最近ではこれも含めて「唐子(からこ)」と呼ぶことが多いようです。

中国明時代(1368~1644年)の青磁や染付磁器によくみられる文様で、両側に人形があるものは「二閑人」といいます。

なぜこれが器の文様となったのかが興味深くて面白いですね。

 

◆龍田川(たつたがわ)

流れる水に紅葉を描いたもの。

紅葉の名所として知られている、奈良県北西部を流れる竜田川にちなんでつけられたと言われています。

江戸時代中期に活躍した陶工・画家の尾形乾山(1663~1743年)が好んだ文様としても有名です。

こういう絵皿は白身の薄造りやフグ造りの刺身によく合います。

 

◆市松(いちまつ)

二色の正(長)方形を交互に配した格子模様。
チェック柄やチェス盤でも見かけるおなじみの模様です。

古い日本の町並みに使われていた石畳のような模様でもあったため「石畳」とも呼ばれていました。

江戸時代中期、歌舞伎役者「佐野川市松」が舞台でこの模様の袴を履いたことから「市松模様」と呼ばれ広く人気が出たデザイン。

市松模様は、その柄が途切れることなく続いて行くことから『子孫繁栄』や『事業拡大』などの意味が込められ、縁起柄として使用されてきました。

そのような理由から、市松模様は2020年の東京オリンピックのエンブレムにも採用されています。

 

◆水玉(みずたま)

丸を散らした模様。

水玉模様は、時代や流行に左右されず好まれ親しまれてきた模様です。

均等に並ぶ水玉デザインがどこか懐かしさを感じさせますね。

 

◆流水(りゅうすい)

水が流れる様子をかたどった文様。

水を意匠化した文様は古くから存在しており、弥生時代の銅鐸にも流水文が描かれています。

流水には「竜田川文様」「菊水文様」「観世(かんぜ)水文様」などがあります。

流水は流れがあり腐らないとされ「清らか」「正義」などの意味にも使われます。
「悪いことを水に流す」ともいわれています。

 

おわりに

いかがでしたか?

見た目ではなかなか縁起の良さが伝わりにくいですが、
生活の中にしっかり溶け込み生かされています。

どれも素敵な文様ですので身の回りでも探してみてください。

次回は【雲錦手・なずな・亀甲・唐子・四君子・瓔珞・花鳥紋・捻・雪輪】をご紹介します。

 

このコラムが気に入ったらシェアしよう!

【焼き物】絵柄の種類 千鳥・丸紋・祥瑞・青海波・一閑人・龍田川・市松・水玉・流水

焼き物に施される文様には多彩な種類があります。 文様には古い由来を持つものが多く、どうしてその文様が使われているのか? なぜその場…