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その他 2019.5.30

【焼き物】絵柄の種類 雲錦手・なずな・亀甲・唐子・四君子・瓔珞・花鳥紋・捻・雪輪

遠藤

焼き物に施される文様には多彩な種類があります。

文様には古い由来を持つものが多く、どうしてその場所で使われているのか?
なぜその文様が使われているのか?その意味に気が付くかもしれませんね。

 

今回は【雲錦手・なずな・亀甲・唐子・四君子・瓔珞・花鳥紋・捻・雪輪】をご紹介します。

 

1.絵柄の種類

 

◆雲錦手(うんきんで)

春秋を代表する桜と紅葉をとりあわせた文様。

「吉野山の桜は雲かとぞ見え 竜田川の紅葉は錦の如し」の意からきているとも言われています。

尾形乾山の作品などに多く、異なる季節を一緒に楽しむという欲張りな文様です。

 

◆なずな

中国の明時代末期の「霊芝(れいし)文」と言う文様。

霊芝とは万年茸(まんねんたけ)のことで、日本では種の形から「なずな」文様と言われており、
日本では350年余りの長きにわたって愛好されている文様です。

 

◆亀甲(きっこう)

六角形の亀甲文様はその名の通り亀の甲羅の形に由来するものです。

「鶴は千年亀は万年」というように、亀は古くから長寿吉兆の象徴として扱われていることから
非常に愛され、多用されている文様の一つです。

亀甲には、六角形をつなぎ合わせた『亀甲つなぎ』、六角形の中に花びらをあしらった『亀甲花菱』、
亀甲を3つ合わせて「Y」の形にした『毘沙門亀甲』など、様々な種類があります。

また、家紋や紋章にも多く、出雲大社の亀甲花菱は特に有名です。

 

◆唐子(からこ)

唐(中国)の子供を描いた文様。

江戸時代は平戸藩の御用窯である三川内(みかわち)焼でしか作ることを許されなかった伝統の図柄です。

唐子文様の代表が「松唐子」で、松の木の下で遊ぶ唐子に牡丹・蝶をあしらい、輪宝(りんぽう)という模様で縁取ります。

興味深いのは、描かれる子供の人数によって器の格が異なることです。
七人描かれた「七人唐子」が最も格が高く、「五人唐子」「三人唐子」と続きます。

 

◆四君子(しくんし)

蘭・竹・菊・梅の4種の植物を一緒に描いた文様。

君子とは、中国で言う”徳が高く、学識に優れ、品位のある人”のことであり、
「気品があり清楚」な蘭、「まっすぐに伸びる純粋さと嵐にも負けない頑固さ」を持つ竹、
「多様な品種から様々な姿を見せる」菊や、「冬に咲き、人々にやすらぎをもたらす高貴」な梅、
4つの植物がそれぞれ君子の特性をもつことから、四君子という名前がつけられています。

 

◆瓔珞(ようらく)

瓔珞とは、もともとインドの上流階級の人々が身につけた珠玉や貴金属を編んだ装飾品のことであり、
それを文様にした絵柄を「瓔珞文様」と呼びます。

古伊万里や仁清などの作品に多く見られる文様です。

 

◆花鳥紋(かちょうもん)

花と鳥を描いた文様を総称して花鳥紋と呼びます。

絵柄には、花なら「菊」「牡丹(ぼたん)」「燕子花(かきつばた)」、
鳥なら「千鳥(ちどり)」「燕(つばめ)」「鶴」「鳳凰(ほうおう)」などを好んで用います。

 

◆捻(ねじ)

放射状に区切られた枠や縞を捻り曲線の区切りにした文様。

濃淡3本の筋で描くのが基本ですが、2本だったり、点々を加えたりと様々な種類があります。

渦を巻く水流、吹き抜ける涼風、音を立てて回る風車…など、いろんなイメージを湧かせてくれる文様ですね。

 

◆雪輪(ゆきわ)

ふんわりとしたボタン雪を図案化した文様。

雪は五穀の精といわれており、その年が豊作になる吉祥の象徴とされていました。

雪輪文様は冬に限らず、「涼しさ」を表現するときにも使われます。

 

2.おわりに

 

いかがでしたか?

今まで何気なく見ていた模様や柄ですが、
絵柄の一つひとつに、今まで受け継がれてきた意味合いがあります。

意味を知ると、器選びがさらに楽しくなりますよ。

次回は【雷文・一字文・松竹梅・立涌・宝尽くし・紗綾形・麻の葉・矢絣・遠山】をご紹介します。

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