食器 2019.4.25
日本の焼き物産地《中国・四国地方》石見焼、萩焼、大谷焼、砥部焼
古くから焼き物作りが行われてきた、日本。
全国各地に様々な陶磁器の産地が点在しています。
今回は、中国・四国地方の伝統的工芸品に指定されている焼き物をご紹介します。
石見焼(いわみやき)【島根県】
江戸時代の宝暦年間(1751~1764年)から本格的に生産が始まったとされている石見焼。
耐火度の高い都野津層粘土を1300度の高温で焼き上げるため非常に堅く、酸・塩分などに強いのが特徴。
特に水かめや漬物用の壷などは日本でも最大規模の生産高となっています。
なかでも「はんど(はんどう)」と呼ばれる赤茶色の大きな丸いかめは、石見焼の代名詞ともなっています。
また、出雲地方で採れる来待石からつくられる釉薬「来待釉」(きまちゆう)の赤茶色も特徴のひとつ。
この釉薬を施して焼くと、鉄分を含んでいるため焼き物の表面が赤くなりますが、
単純な赤ではなく、見る角度によって茶に見えたり、光を取り入れて七色に見えたりと何とも魅力的です。
萩焼(はぎやき)【山口県】
萩焼は17世紀の初め(1604年)、藩主である毛利輝元の命によって御用窯が開かれたのが起源。
控えめな色味と装飾ですが、茶道の世界では古くから「一楽・二萩・三唐津」と言い、
茶人好みの抹茶茶碗を、京都の楽焼、山口の萩焼、佐賀の唐津焼の順番に格付けしていたと言います。
萩焼の特徴は淡いビワ色や白色をしたやわらかい風合いと、「貫入(かんにゅう)」という細かいヒビの様な模様。
貫入は、水分を吸収するという特性がありますので、長く使えば使うほど茶渋などが浸透し、
器自体の色味が変わり、茶人の間では「萩の七化け」や「茶馴れ」といって珍重されています。
使えば使うほど、雰囲気が変わる器というのも魅力的ですね。
また、萩焼の茶碗は「切り高台」と呼ばれる、高台の一か所を三角に削って(切って)いるものが多く見られます。
大谷焼(おおたにやき)【徳島県】
大谷焼の起源は江戸時代(1780年)までさかのぼります。
よく知られているのが大型の「水甕(みずがめ)」。
身の丈ほどある大物陶器を作る際は『寝ロクロ』という独自の技法を用いて成形するのが有名です。
(※『寝ロクロ』とは、二人一組になり一人が成形を担当し、一人が寝ころび足で蹴ってロクロを回す製法)
基本的に大甕作りは二人の呼吸が合っていないと作れません。
また、鉄分が多くざらっとした手触りで金属的な光沢を放っていることが、大谷焼の特徴であり魅力です。
砥部焼(とべやき)【愛媛県】
砥部焼は江戸時代中期(1777年)、杉野丈助が白磁の焼成に成功したことに始まります。
暖かみのある白磁に、「呉須(ごす)」という藍色の顔料で描かれた素朴な絵付けが特徴です。
焼き上がりは非常に堅くぽってりと厚みがあり、その丈夫さから「喧嘩器」とも呼ばれています。
また、「玉ぶち」といわれる丸みある縁がある器が多いのも特徴です。
厚みのある砥部焼は保温性に優れており、熱にも強いため食洗機、電子レンジもOK。
デザインがシンプルなので、毎日使っても飽きのこない使い勝手がよい焼き物です。
和食器でありながら、和・洋・中華どれでも使用することができるという点は、砥部焼ならではの魅力です。
おわりに
いかがでしたか?
焼き物は、手に持った瞬間ワクワクするような特別感があり、
長年使い込むことで味わいが出てきて愛着がわいてきます。
次回は《九州地方:その1》の焼き物をご紹介します。
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日本の焼き物産地《中国・四国地方》石見焼、萩焼、大谷焼、砥部焼
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